メールや提案書を作成する上で、文章を書くことに苦戦している人は多くいます。その中でも、「話がまとまらない」、「文章が読みにくい」などは、典型的な悩みの例だといえます。
こうした問題のほとんどは、「文章が論理的につながっていない」ことが原因です。そのため、読んだ相手から「結局、何が言いたいの?」と言われたり、「もう一度、書きなおし」と命じられたりするのです。
しかし、こういった問題は、ロジカルライティングを学ぶことで解決できます。ロジカルライティングとは、論理的な文章の書き方のことです。
このスキルを習得すれば、自然と論理的で読みやすい文章を書けるようになります。
今回は、論理的な文章を書くためのロジカルライティングについて解説します。
目次
ロジカルライティング(論理的な文章)とは?必要性や目的や意味
ロジカルライティングを学べば、分かりやすい文章を書けるようになります。実際、私もロジカルライティングの方法を実践して、上司から「どういうこと?」と聞かれる回数が減りました。
しかし、ロジカルライティングの本来の目的は、分かりやすい文章を書くことではありません。この事実を知らないままで、ロジカルな書き方を学んでも、まったく効果がありません。
そこで、ロジカルライティングの必要性や意味について紹介します。
ロジカルライティングの意味とは?
ロジカルライティングとは、英語でLogical writing(論理的な文章の書き方)のことです。早い話が、論理的でわかりやすい文章を書く方法です。
ロジカルライティングの必要性や目的
ロジカルライティングを学べば、わかりやすい文章を書けるようになります。しかし、実はロジカルライティングは、分かりやすい文章を書くための技術ではありません。
ロジカルライティングの本来の目的は、あなたが望むように相手に行動をしてもらうことにあります。
そもそも、わざわざメールや資料を作成するのは、「何らかの目的」があるはずです。たとえば、「設備の導入を許可してほしい」、「新規プロジェクトの提案に承認してほしい」といったことを実現したいとします。
こういった目的を達成するためには、上司やチームメンバーに協力を要請する必要があります。そのときに、わかりづらい説明をしてしまうと、協力を得ることができません。
そこで、ロジカルライティングで分かりやすく説明することで、協力を得ることができるようになるのです。
実際、照屋華子氏の著書「ロジカルライティング」によると、ロジカルライティングとは以下のことであると伝えています。
自分の考えを意図したとおりに相手に理解してもらい、相手に期待する反応をとってもらうための文章作成法(一部改編)
すなわち、ロジカルライティングの目的は、ただ分かりやすい文章を書くことではなく、相手に協力をもらうための文章作成方法なのです。
ロジカルライティングができない人にありがちな問題と事例で紹介
上述の通り、ロジカルライティングを正しく実践すると、相手にやってほしい行動が明確になります。
その結果、「文章がわかりやすい」、「君の提案にはいつも助けられる」といった評価をもらえるようになります。
しかし、ロジカルライティングができない人は逆です。作成したメールに対して、「文章がわかりづらい」、「何がいいたいの?」といった反応がかえってきます。
非ロジカルな文章の事例とその問題点
ロジカルな文章が書けない人の問題点は、たった一つで「目的が定まっていない」ことです。
たとえば、あなたが読んだメールに、「今日の会議では、○○という意見もあれば、△△の意見もありました。とりいそぎ、報告します。」と書かれていたとします。
そのメールを読んで、あなたはこう思うはずです。「・・・で、何をしたいの?」
こういった文章を書いてしまうのは、「何を伝えたいのか」を明確にしないまま文章を作成しているのが原因です。「他の人がやっているから」、「いつもやってきたから」といった理由で、なんとなく文章を作成しているのです。
実際、「とりいそぎ、報告します」と言われても、メールを読んだ相手は何もやりようがありません。
そのため、こういった文章を作成しても、左から右でスルーされて終わりです。早い話が、ムダな文章なのです。
結局、この問題の根本原因は、「文章を書く目的が定まっていない」ことです。その結果として、なんとなく文章を作成してしまうのです。
ただ「文章を書く目的が定まっていない」以外にも問題があります。たとえば、「文章の論理が破綻している」「伝える順番が違う」といった問題です。
もし、論理的でない文章の特徴や問題について、詳しく知りたいなら、こちらの記事で解説してます。ぜひ合わせてよんでみてください。
ロジカルライティング(論理的な文章)の書き方|パラグラフ、構成を意識
ここまで述べてきたように、ロジカルライティングができない人は、「文章がわかりづらい」、「何がいいたいの?」といった問題が起こりがちです。
もちろん、こういった問題は意識すれば解消できます。ただ、論理的な文章を書くことができる人が「どのようにして文章を書いているのか?」ということを学べば、より効率的に、論理的かつ理解しやすい文章を書けるようになります。
そこで以下に、ロジカルな文章を書くことができる人が実践している正しいライティング方法を順序立てて解説します。
手順1|「誰に何をしてほしいか」を決める
論理的で理解しやすい文章を作成できる人の多くは、文章を書き始める前に「なぜ、この文章を作成するのか」を決めています。
つまり、文章を読んだ相手が何をしてほしいかを決めているのです。
たとえば、「この文章の結論は○○である」「A先輩に△△、B先輩に□□をしてもらいたい」といったことを、頭にイメージしていたりメモしていたりします。
このとき、「何を」を決めることが重要なのは言うまでもありませんが、「誰に」を決めることも重要です。
たとえば、この記事ではロジカルライティングの方法を書いています。しかし、読んでくれる相手が、どんな人なのかで、文章の内容を変える必要があります。
想定している相手がロジカルライティングをある程度知っているなら、「ロジカルライティングの書き方」だけを解説すれば問題ないでしょう。一釜で、相手がロジカルライティングを知らないなら、「ロジカルライティングの必要性や目的とは?」から説明する必要があります。
こうした「誰に」まで事前に決めておくことで、わかりやすい文章が書けるようになります。ちなみに、この記事では、事前に以下の内容を想定しています
誰に | 「文章がわかりづらい」と言われて悩んでいる人(ロジカルライティングをしらない人を含む) |
---|---|
何をしてほしい | 文章の正しい書き方を知って、実践してほしい |
手順2|ゴールから逆算して文章構成(目次、パラグラフ)を決める
次に、文章構成(目次、パラグラフ)を決めます。文章構成とは、目次のことです。事前に構成を練っておけば、余計な内容を書いて結論がズレてしまったり、話の順番がおかしくなったりすることがなくなります。
また、実際に構成を作成してから文章を書くと、文章作成のスピードが上がります。あらかじめ記載する内容が明確なので、スラスラ文章を書くことができるのです。
論理的な文章が書ける人ほど、書く前の構成を重要視しています。たとえば、構成としては以下の項目を参考にするといいでしょう。なお、この記事を作成したときの構成案も紹介します。
構成の項目 | 構成案 |
---|---|
問題 | 「文章がわかりづらい」と言われる |
解決 | ロジカルライティングの手順を学ぶ |
理由 | 文章がわかりづらいのは、正しい書き方を知らないから |
説明 | 論理的な文章を書くには正しい手順がある。その手順通りに文章を書けば、自然と文章が書ける |
例示 | とりあえず書いた文章は、伝えたい内容がズレる。 手順通りに書くと、伝えたい内容が一貫的になる |
結論 | 論理的な文章を書くには、ロジカルライティングの手順を学ぶ |
書くべき構成を決めておくと、文章全体で伝えたい内容が一つの線でつながります。こうすることで、文章の流れがおかしくなることを防ぐことができます。
手順3|構成(目次)ごとに内容を書く
いよいよ、内容を書いていきます。やることは、構成の肉付けです。たとえば、以下の項目に肉付けするとします。
問題 | 「文章がわかりづらい」と言われる |
---|
以下のように肉付けします。
メールや提案書を作成する上で、文章を書くことに苦戦している人は多くいます。その中でも、「話がまとまらない」、「文章が読みにくい」などは、典型的な悩みの例だといえます。
こうした問題のほとんどは、「文章が論理的につながっていない」ことが原因です。そのため、読んだ相手から「結局、何が言いたいの?」と言われたり、「もう一度、書きなおし」と命じられたりするのです。
このとき、一文一文のつながりを考えるより、どんどん書き進めていきましょう。それは、書いている途中で深く考えると、文章を書く手が止まってしまうからです。
たとえば、出版社では、文章の作成と校正を分けています。それは、「文章作成」と「校正」を同時にやると時間がかかるからです。
話の順番が気になることはありますが、それは後で修正できるので、気にせず書き続けるほうが重要です。
手順4|文章を読み返す
ここまでくると、文章の形が出来上がります。次は、作成した文章を読み返して、全体と通して「誰に」「何を」が明確になっていることを確認します。
また「スムーズに読めるか?」「問題→解決→理由→説明→例示→結論」という流れになっているかを確認します。
たとえば、解決が一番最後に来ていたり、問題と解決が対になっていなかったりする場合には、話のスジが通るように順番を並び替えます。
また、書いている内容が、「誰に」から外れていたり、必要ないことを書いていたりする場合には、それを省きます。
さらに、例示には図や表があるとわかりやすさが増します。手書きでも良いので、より伝わる方法があれば採用します。
このように、文章完成前に、構造と中身を見直して修正します。ここで、文章はとりあえず完成です。上司や取引先に資料を送ります。
手順5|反応をみて改善する
文章を作成してオワリではありません。相手の反応を見て、改善を行う必要があります。なぜなら、あなたの書いた文章を読んで、行動するかしないかを決めるのは、相手次第だからです。
たとえば、広告やCMで使われる文章を考えてみます。広告やCMを作っているのは企業ですが、読むのは消費者です。そのため、広告やCMの文章は常に消費者の反応をみて改善を行うのです。
これは、あなたが作成する文章も同じです。もし、文章を読んで理解してもらえないのであれば、足りない部分を補足したり、データを追加したりして、改善をする必要があります。
実際、どれだけ自分の中で良い文章だと思ったとしても、読み手に100%理解してもらうのは、難しいです。そのため、相手が行動してくれるまで文章の改善を続ける必要があります。
ここまで紹介した5つのステップで論理的な文章が書けるようになります。まとめると以下です。
手順2|ゴールから逆算して文章構成(目次、パラグラフ)を決める
手順3|構成(目次)ごとに内容を書く
手順4|文章を読み返す
手順5|反応をみて改善する
ぜひ実践してみてください。
ロジカルライティングのためのおすすめ本・テキスト・書籍
ロジカルな文章の書き方は、本で十分に学ぶことができます。おすすめの本はたくさんあるのですが、この記事では3冊を紹介します。
こちらの本は、論理型の文章の型が紹介されています。本は薄いのですが、内容はしっかりしていてわかりやすいです。初心者にはおすすめです。
この本は、パラグラフライティングの基礎が書かれています。パラグラフライティングは、学術論文のキホンなので、知っておくと、伝わる文章を書けるようになります。伝わる文章を書きたい方にはおすすめです。
この本は、文章の論理(流れ)を読み解くワザが書かれています。文章作成に限らず、論理的思考力を高めたい方にはオススメです。
問題と解答が付いているので、自分が間違った箇所が分かるので、トレーニングにはもってこいの書籍です。
ロジカルライティングを習得するには実践すること
文章を作成する場合、最初は雑でもいいので最後まで書ききることが大切です。そして、後から必ず修正を加えるようにします。
実際に最初から完璧な文章を書ける人はいませんし、どれだけ文章作成が得意な人であっても、最初から上手にできるワケではありません。誰もが、後で読み返してみると「最初に書いた文章はひどい」と感じるものです。
そのため、最初に書いた文章がひどい出来であっても許容しましょう。そして、何度も改善したり、書く経験を積んだりしてレベルを上げていきます。それによって、よりわかりやすい文章を書けるようになっていきます。
ただ、実際に文章を書くときは、必ず論理的に書くための手順通りに書いていきましょう。これによって、効率よく論理的な文章を書く事ができます。こういった地道な努力をできる人だけが、論理的な文章を書けるようになります。
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