顧客に定期的にメール配信をしたいときがあります。
このような作業は、外部のメルマガスタンドを購入して対応する人も多いはずです。
しかしお金をかけずともVBAを使ってExcel×Outlook×Textでツールをつなぎ合わせることで自作することが可能です。
このページでは、VBAでメール定期通知システム(メルマガ配信スタンド)を作ってみます。
・VBAプログラム入りのエクセルをダウンロード可能
それでは以下で詳しく紹介していきます。
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VBAでメール定期通知システムを作成
このページでは、上記のようにExcelに入力されたメールアドレスと事前に作成しておいたテキストファイルの情報からメール表をOutlookに貼り付けて送信するVBAプログラム」を紹介します。
できるだけ実務に近い事例として、毎週エクセルで集計したデータをチームメンバーへメール通知する作業を題材にします。
具体的には以下の作業を効率化していきます。
手順1. エクセル一覧を入力
手順2. テキストファイルと添付ファイルを保管
手順3. 配信停止メールアドレスの更新
手順4. 事前確認用アドレスに送信
手順5. 顧客へ一斉通知
以下で使い方の手順を紹介します。
手順1. エクセル一覧を入力
「メールリスト」シートに以下の情報を入力します。
・ユーザーID
・名前
・メールアドレス
上記の4つを入力します。
ただし、NoとユーザーIDはなくてもプログラムは動きます。
C列:名前
名前は手順2で設定するテキストファイル(メール本文)の「{名前}」を差し替えます。
D列:メールアドレス
メール宛先を入力します。顧客へ通知したいメールアドレスを入力しておきます。
メールアドレスが間違っていたり空欄だったりすると、メールを送信できません。
手順2. テキストファイルと添付ファイルを保管
手順2-2. 「20_添付ファイル」にメールに添付するファイルを保管
手順2-3. VBAプログラムを実行して、エクセルにリストアップ
手順2-1. 「10_メール本文」にメール本文となるテキストファイルを保管
「10_メール本文」にメール本文となるテキストファイルを保管します。
このテキストファイルには以下のようにメールの本文を入力しておきます。
テキストファイル内の「{名前}」という記載は、手順1のC列の名前に置換されます。
そのため、名前を置換したい場合は、{名前}と入力しておきます。
手順2-2. 「20_添付ファイル」にメールに添付するファイルを保管
「20_添付ファイル」にメールに添付するファイルを保管します。
この添付ファイルは、PDF,画像(jpeg,png),エクセルなどメール添付できるファイルであればなんでも構いません。
手順2-3. VBAプログラムを実行して、エクセルにリストアップ
VBAプログラムを実行して、手順2-1と手順2-2で保管したファイルをエクセルにリストアップします。
さらにリストアップした内容をもとに、以下のように「メールリスト」のE列とF列にプルダウンリストを自動生成します。
手順3. 配信停止メールアドレスの更新
手順3-2. VBAプログラムを実行して、「メールリスト」シートに出力
手順3-1. 「配信停止」シートのA列にメールを通知しないアドレスを入力
「配信停止」シートのA列にメールを通知しないアドレスを入力します。
手順3-2. VBAプログラムを実行して、「メールリスト」シートに出力
手順3-1で入力した配信停止したいメールアドレスに対して、G列に「停止」を出力します。そして行ごとグレーアウトします。
手順4. 事前確認用アドレスに送信
手順4-2. VBAプログラムを実行して、事前確認用アドレスにメール送信
手順4-1. 事前確認用アドレスを入力
顧客にメールを一斉通知する前に、誤った内容のものが送信されないことを確認する必要があります。
そこで「送信前チェック」シートに事前確認用の「C列:名前」、「D列:メールアドレス」、「E列:送信メールファイル(本文)」、「F列:添付ファイルURL」を入力します。
手順4-2. VBAプログラムを実行して、事前確認用アドレスにメール送信
VBAプログラムを実行して、事前確認用のメールアドレス宛に正しくメールが作成されていることを確認します。
確認なしで、メールを一斉送信すると、ミスがあったときに大変なので、このように確認するプロセスを設けています。
手順5. 顧客へ一斉通知
手順5-2. VBAプログラムを実行して、一斉通知
手順5-1. E列とF列をプルダウンリストから選択
E列とF列をプルダウンリストから選択して、情報を入力します。
プルダウンリストは手順2を行うと、自動で作成されます。
手順5-2. VBAプログラムを実行して、一斉通知
VBAを実行すると、エクセルに記載された宛先に対してOutlookを通じてメールを自動送信します。
上記の画像ではメールが一つだけですが、複数の宛先に一斉(正確には連続)にメールを送信します。
このとき手順3で停止設定をした宛先にはメールを通知しません。
また、メールを送信した宛先は「ログ」シートに送信情報を出力します。
使い方の説明はここまでです。
ボタンにVBAプログラムを登録する方法
本ページではVBAプログラムをボタンに登録しています。
ボタンにVBAプログラムを登録することで、ボタンを押下しプログラムを実行することができます。
ボタンをVBAプログラムを設定したい場合は、以下で動画も交えて設定方法を紹介しているので、そちらをご覧ください。
それでは、以下でプログラムについて詳細を説明します。
VBA入りのエクセルファイルをダウンロード
以下で紹介しているVBAプログラムをそのまま使いたい人は、以下のフォームからダウンロードできます。
登録したメールアドレスへVBA入りのファイルを送信します。
本プログラムの内容をそのまま使用可能です。ぜひお仕事にお役立てください。
VBA作成前の2つの準備
ExcelでVBAを使うためにはいくつかの準備が必要です。
具体的には以下です。
準備2. Outlookとテキストファイルを使うための事前準備
上記の2つに関して、以下で説明します。
準備1. ExcelでVBAを使うための事前準備
Excelで、以下の2つの準備をします。
2. 開発タブを追加
保存ファイルの拡張子変更、Excelの基本設定変更の2つです。
2つともで難しい作業はなく、それぞれ1分もあれば設定変更可能です。
上記に関しては、以下の記事で解説をしています。
もしVBAを使うための準備段階に不安がある人は上記をご覧ください。
この内容は以下の動画で紹介しています。
入門エクセルマクロの使い方|マクロ作成から実行までを徹底解説
文字や画像だけで分かりづらい人は上記の動画をご覧ください。
準備2. Outlookを使うための事前準備
Excel VBAでOutlookのメールを操作するためのプログラミングに入る前に、VBAの設定を変更しておく必要があります。
実はVBAのデフォルト設定の場合、メール送信操作はできません。
なぜなら参照設定が変更だからです。参照設定とは機能拡張させることです。
参照設定を変更することで、Outlookでのメール送信が可能になります。
この記事で紹介するプログラムを使えるようにするには、以下の2つの参照設定を変更します。
2.Microsoft Scripting Runtime
「Microsoft Outlook XX.0 Object Library」にチェックを入れることで、Outlook操作の設定ができるようになります。
「Microsoft Outlook XX.0 Object Library」と記載しましたが、「XX.0」は15.0などの数値が入っています。
「Microsoft Outlook XX.0 Object Library」は1種類しかないはずので、それにチェックを入れます。
「Microsoft Scripting Runtime」にチェックを入れることで、添付ファイルを保存するフォルダを作成することができるようになります。
VBAの参照設定の方法
以下、具体的な設定方法を紹介します。
手順2.Microsoft Outlook 15.0 Object Libraryのライブラリにチェックを入れて、OKをクリック
手順3.Microsoft Scripting Runtimeのライブラリにチェックを入れて、OKをクリック
詳細はこちらの画像の通りです。
手順1.VBEを開いて頂いて、「ツール」→「参照設定」
手順2.Microsoft Outlook 15.0 Object Libraryのライブラリにチェックを入れて、OKをクリック
ここでは「Microsoft Outlook 15.0 Object Library」としていますが、「15.0」は16.0などの数値が入っています。
お使いのExcelによっては、15.0以外の数値が入っている場合があります。その場合、一番大きな数値のもの(1つしかないですが)にチェックを入れるようにします。
手順3.Microsoft Scripting Runtimeのライブラリにチェックを入れて、OKをクリック
上記の設定をしていないと、本事例で紹介しているOutlookメール操作の事例は動作しません。必ずチェックを入れるようにします。
それでは、以下でプログラムについて詳細を説明します。
VBAのプログラムソース解説
今回紹介するプログラムの概要は以下です。
このページではプログラムの詳しい解説は省略します。
プログラムにコメントアウトでメモを残していますので、そちらを見ながら必要な箇所を編集してご活用ください。
Excel VBAについて詳しく理解したいなら
VBAを活用すると、仕事を効率化できる幅を広げることができます。
たとえば私が実際にVBAを活用して効率化してきた作業は以下の記事で紹介しています。
興味がある人は以下の記事もご覧ください。
動画でも解説しています。
エクセルマクロVBAで出来ることを15の事例で紹介|日常業務をラクにするヒントを見つけよう!
(音声が小さいので、ボリュームを上げてご覧いただければと思います)
VBAの勉強方法
私はプログラミング初心者からVBAを勉強を始めて少しずつレベルアップしていきました。
成長の過程は以下で紹介しています。
学習の過程では、意識すべきポイントがあります。
特に独学の場合だと、勉強を優先してしまい、肝心な実践を疎かにしがちです。
私の経験では、実践から逆算した勉強が必要だと考えています。
目指すべきは会社でお金をもらいながら勉強することです。
要はVBAを仕事の一つとして上司に認めてもらうのです。
そうすればわざわざ高いお金を払って勉強をする必要がなくなります。
しかも作業を自動化して、会社やチームに貢献しつつ、自らのスキルアップできます。
そのために必要な考え方を以下で紹介しています。
とはいえ、プログラミング初心者でVBAについて知識ゼロの人もいるはずです。
いきなり会社でVBAで使うことさえ、とてつもなくハードルが高く見えてしまうものです。
その場合は、VBAの基本について学ぶ必要があります。
たとえば車の運転も慣れてしまえば、たいしたことではありません。
しかし教習所で運転の基本を学び、免許を取得することで、公道で運転できるようになります。
VBAも同じです。VBAに免許はありませんが、まずは基本を学ばないことには会社で使えるレベルにはなりません。
実際に私もプログラミング初心者のときは、動画を見たり書籍を読んだりして勉強しました。
今はオンラインの教材で無料で学習できるものも多いです。
上記のリンクでは、私の経験から勉強にオススメの教材を紹介しています。
興味がある人はご覧ください。
VBAを自分で書けるようになる
さて、本記事で紹介したマクロを利用すれば、作業の自動化が可能になります。
しかしデメリットもあります。それはカスタムできないことです。
なぜなら、色々な要望が増えるからです。
この動画を見たとき、「もっと○○ができるのでは?」や「ここはなんとかならないのか」と感じる人は少なくないはずです。
例えば、「他の条件を付け加えたい」や「日付毎に条件を変えたい」といった要望が出るかもしれません。
このような要望を満たすには、マクロを勉強して自力でマクロを編集できるようになる必要があります。
もし、自力でマクロを編集できるようになれば、今より仕事の効率はグッと上がります。
実際、私も自力でマクロを書けるようになってからは、仕事の生産性が一気に上がりました。
他の人が30分~1時間かけて行う仕事が、ボタン一つで終わらせることができるようになったのです。
その結果、周囲からの信頼も増し、仕事で高い評価を得られるようになりました。
ただ、要望に応えるようになるためには、マクロを学ぶ必要があります。
まずは無料でマクロを勉強してみる
ウェブや書籍で勉強すれば、マクロを習得できると考えている人は少なくありません。
しかし、仕事で使えるマクロを習得したいなら、仕事で使える部分に特化した教材で学ぶことをお勧めします。
なぜなら、ウェブや書籍には仕事に関係しない部分まで提供していることが多いからです。
例えば、マクロ初心者なのに配列を学ぼうとする人がいます。実は配列なしでも仕事で使えるマクロを書くことは可能です。
しかし、マクロ初心者ほど「全ての知識が必要だ」と考えて、無駄な学習に時間を使ってしまうのです。詳しくは、こちらの記事で紹介しています。
そこで、私がお勧めするのは仕事に直結するマクロ教材です。とくにお勧めするのは、こちらの無料オンライン動画です。
なぜなら、仕事に直結する部分に絞って、エクセルマクロを学ぶことができるからです。
マクロの作り方・考え方から解説しているので、教材をしっかり学べばここで紹介したマクロをゼロから書けるようになります。
マクロ初心者が、仕事に直結したいマクロを学ぶなら、まずはこちらの無料オンライン動画を試すのがいいです。
興味がある人は、まずは無料でエクセルマクロの勉強を始めてみてください。
もっと学びたいと感じたら、さらに深く勉強をしてみることをお勧めします。