クライアントへのプレゼンや上司・同僚への説明が上手くできないと悩む人は少なくありません。
しかし、どれだけ時間をかけて資料を作っても、多くの人の説明はクライアントや上司に理解されません。
一方で、頭がいい人は時間をかけなくても分かりやすいプレゼンをできます。
なぜこのような違いが起こるのでしょうか。
実は、クライアントや上司に興味を持ってもらえるようなプレゼンをするためには、いくつかのポイントを意識した上で説明を行う必要があるのです。
そこで、クライアントや上司に興味を持って話を聞いてもらえるようなプレゼンをするために意識すべき3つのポイントについて解説します。
3つのポイントとは「読まない」「理解しない」「行動しない」の3つのハードルを超えることです。
目次
プレゼンが上手い人が意識している3つのポイント
「あの人のプレゼンは上手い」、「説明が分かりやすい」と言われている人がいます。
実は、頭が良い人はプレゼンをするときに意識しているポイントがあります。そのポイントとは、以下の3つです。
No | ポイント | 意識すること |
1 | Not Read/Hear|相手は読まない/聞かない | 自分の説明を全て聞いてもらえない |
2 | Not Understand|相手は理解しない | 自分の知識をそのまま話したら理解してもらえない |
3 | Not Act|相手は行動しない | 次に何をしたらいいのか必ず伝える |
この3つのポイントを意識して説明するかどうかでプレゼンのわかりやすさが決まるのです。
それでは、以下で3つのポイントについて詳しくお伝えしていきます。
ポイント1|Not Read/Hear|人は読まない/聞かない
「この人の説明はつまらない」と感じることがあります。
例えば上司が行ったスピーチは多くの人が聞いているようで聞いていません。
その理由は単純で、人に聞いてもらえるように話をしていないからです。
しかし、上司のスピーチはつまらないと評価する人でも自分自身が話すと、その上司のようにつまらない話をしてしまうものです。
そこで、人に聞いてもらうために必要な「人は読まない/聞かない」ということをお伝えしていきます。
そもそも「Not Read/Hear|人は読まない/聞かない」とは
多くの人はなぜか以下のように考えています。
「自分の説明を全部聞いてもらえる」
特に時間をかけて作った資料ほど、全て読んでもらえると考えるのです。
しかし、実際には違います。クライアントや上司はあなたの資料に全く興味がありません。
できれば、あなたの資料を読みたくないし、説明を聞きたくありません。
なぜなら、その資料を読んだり説明を聞いたりすることにメリットを感じていないからです。
例えば外部セミナー講師の話を聞くとき、退屈でつまらないと感じたことがあるはずです。
実際、外部セミナー講師がだらだらと話をする人は多いです。
そのため、聞いている人は「この話は自分には関係ないな」と思ってしまうのです。
これはあなたがプレゼンをするときも同じです。
聞き手は、あなたの話を聞きたいと思っていないし、資料を読みたいと思っていないのです。
そのため、プレゼンを行う側は、相手が「自分の話なんて聞かない、資料なんて読みたくない」状態だと考える必要があります。
残念ながら、どれだけプレゼン内容が素晴らしいものであっても、相手に興味を持ってもらえなければ資料の残骸が残るだけです。
このようにプレゼンなんて聞きたくないし、資料なんて読みたくないと思っている人に対して、「どのようにすれば読ませることができるか」を考え始めると、ようやくプレゼンの伝え方が見えてきます。
対処法|「Not Read/Hear 読まない/聞かない」を防ぐには
では、プレゼンを聞いてもらうためには、どうのような対策が必要でしょうか?
それは、相手の興味や注意を引くことです。
・読まれる手順書作成に必要な3つのこと
・残業を20時間削減する方法
・年収1000万を越えるための5つのポイント
例えば、上記のようなキャッチーなことをプレゼン冒頭で話したり、スライド見出しにいれたりします。
実際、新聞や週刊誌が参考になります。新聞では見出しがあり、30字程度でメッセージのまとめを述べています。
これは読者をひきつけるためのものです。さらに、図を入れたり文字を大きくしたりすることで読みやすくしています。
これは、プレゼン資料作成にも活かせます。
実際、私も会社で業務効率化の内容をプレゼンしたときの資料では、冒頭で「X人の平均で○○時間/年削減」と記載しました。
これによって、プレゼンを聞く側は「本当? どういうこと?」と思わせることができ、興味をもって説明を聞いてもらうことができました。
このように、キャッチーな内容を入れて興味や注意を引くのは、相手に聞く姿勢を取らせるために重要です。
そして、普段みかける新聞や雑誌は生きた参考資料になります。
ポイント2|Not Understand|相手は理解しない
たとえプレゼンを聞かせる姿勢を作ることが出来ても、プレゼン内容を理解できないことがあります。
実際、人のプレゼンを聞いていても、「これって何?」「なんで?」と感じることがあるはずです。
これは発表者が、聞き手の理解力を考えていないからです。
聞き手が専門用語を知らない初心者であることを念頭にいれて説明をしていないのです。
そこで、「相手は理解しないこと」と「その対策」についてお伝えしていきます。
そもそも「Not Understand|相手は理解しない」とは
人のプレゼンを聞いていると、「なんだかよく分からない」と感じてしまうことがあります。
その理由は、多くの人が自分の視点でプレゼン資料を作成してしまうからです。
たとえば、業務担当者からすればいつも使う単語でも、担当外の人からすれば難しい概念や知らない単語に見えます。
実際に、あなたが「ISOの基準を満たしています」とプレゼンで説明されたとします。
これは、「ISOとは何か?」、「ISOの基準が厳しいこと」を知っていれば、その重要性を理解できます。
しかしISOの知識が乏しい人からすると、この内容を理解することができません。
画像
このように、自分の知識を前提にしてしまうと、難しい概念や専門用語を理解してもらえません。
また、説明が長いと、聞く側が理解できなくなる場合があります。
たとえば、プレゼン資料が数十枚にわたり資料一つ一つに文字がびっしり埋まっていると、聞く側は読む気がなくなります。
聞く側は、初めて読む文章を一つずつ理解しないといけません。
したがって情報量が多すぎると、理解する気力がなくなるのです。
このように担当者の作成側からすれば当たり前に分かることでも、読む側からは理解が難しいことはたくさんいます。
マニュアル作成側は、「自分の文章は理解されない」という考えを頭に入れておく必要があります。
Not Understand(理解しない)を防ぐには
それではどのような対策をすれば、聞き手にプレゼンを理解してもらえるのでしょうか?
それは、プレゼンで紹介する内容を短く端的に伝えることです。たとえば、以下のことがあります。
・5W1H「なぜ、いつ、どこで、誰が、何を、どうやって」を書く
・時系列に書く
・専門用語を使わない(使う場合は注釈を入れる)
・数値でデータを示す
実は、知識がある人ほど、文章が長くなりがちで主語が抜けがちです。
また、経験豊富な人しか分からない用語を使ってしまいます。
それは伝える側が本当のことを伝えたいからです。
より正確に理解してもらいからこそ、情報が長くなってしまったり、専門用語を使ってしまったりするのです。
しかし、聞き手はそこまで理解力を持っていません。
例えば、これから学ぼうとしている分野の教科書を読むとき、イラストが多くて分かりやすい記載の本を選ぶはずです。
それは初めて学ぶ分野を一度の全部学ぶことができないからです。
それは、プレゼンでも同じです。相手は全く知らない話を聞くわけです。
これが分かれば教科書のような説明をすれば、当然わかりにくいプレゼンになってしまうのが分かります。
そのため自分が初心者だったら、「どのように説明するのが分かりやすいだろう」と考えてプレゼン資料を作るのが大切なのです。
そして、そう考えれば以下の要素を盛り込むのがどれだけ重要か分かるはずです。
・5W1H「なぜ、いつ、どこで、誰が、何を、どうやって」を書く
・時系列に書く
・専門用語を使わない(使う場合は注釈を入れる)
・数値でデータを示す
もし、もっと具体的なイメージを持ちたいなら、専門分野を初心者向けに紹介している本を読んでみるといいでしょう。
ポイント3|Not Act|相手は行動しない
プレゼンを聞き終わったとき、「この人は何が言いたかったのだろう」と感じることがあります。
その理由は単純で、聞き手に何をしてほしいのか伝えていないからです。
相手の時間を使ってもらってプレゼンをするからには、伝えたいメッセージがあるはずです。
それをしっかり伝え、最終的に相手の行動につなげてもらわなければ、プレゼンをする意味がありません。
そこで、最後のポイントである「人は行動しない」ということをお伝えしていきます。
ポイント3|Not Act|聞き手は行動しない
プレゼンを聞き、内容も理解できたとしても、聞き手は行動しません。
それはプレゼンを聞き終わったとき「そうなんだ」や「よく分かった」と考えて、終わってしまうからです。
しかし、それではプレゼンの目的は達成されません。
なぜならプレゼンは相手に理解してもらうために行うものではないからです。
真の目的は、プレゼンを聞いた人達に「こちらの望む行動をしてもらう」ことなのです。
例えばクライアント向けの資料であれば、「こちらの望む行動」は自社の商品を購入してもらうことかもしれません。
また上司への説明であれば、「こちらの望む行動」は新しいシステム導入の決済かもしれません。
このようにプレゼンをするのであれば、聞いた人達が何をすればいいのかを明確に示す必要があります。
しかし、多くのプレゼン資料は、相手が何をすればいいのか分からなかったり、本当にやる意味があるのか分からなかったりします。
たとえば、上司に業務効率化の提案をしたいとします。
このとき、提案時に「この作業はムダです。業務効率化できるはずです。」と説明したとします。
しかし、この説明では上司は何をすればいいのか分かりません。
これは悩みを吐露しているだけで、提案ではないのです。結局、上司からすれば「それで、あなたは何をしたいの?」と聞かれて終わりです。
ただ、このように相手に何をしてほしいのかが曖昧なプレゼンは本当に多いです。
Not Act(行動しない)を防ぐには
それではどのようにすれば、相手に行動をしてもらえるようのでしょうか。
それは、行動してもらうために以下のことを伝えるのです。
・聞き手のメリットを伝える/デメリットを伝える
・問題を放置することの危険を伝える
たとえば、「問題を放置することの危険を伝える」ことは、相手を行動させるために重要なテクニックです。
実際、私は「法律の変更により、製品情報を更新する必要がある」という提案をしたことがあります。
このとき、「法律の変更により、製品が売れなくなるリスクがある」と伝えました。
製品が売れなくなるのは大きなリスクなので、提案の結果、上司を含めチーム全員で対応することになったのです。
他にも新しいシステムを導入する場合は、「導入前後で○○時間業務が効率化されること」や「システム導入にかかる費用を複数社比較すること」でメリットやデメリットを伝える必要があります。
このように、行動の意義を理解してもらうことが重要なのです。
逆に行動の意義を伝えないと、プレゼンでただ話を聞いてもらっただけで終わってしまいます。
ここまで3つのポイントを紹介してきました。もう一度ポイントを列挙します。
No | ポイント | 意識すること |
1 | Not Read/Hear|相手は読まない/聞かない | 自分の説明を全て聞いてもらえない |
2 | Not Understand|相手は理解しない | 自分の知識をそのまま話したら理解してもらえない |
3 | Not Act|相手は行動しない | 次に何をしたらいいのか必ず伝える |
これらが頭が良い人はプレゼンをするときに意識しているポイントです。ぜひ実践してみてください。
「よし、やろう!」と言ってもらえるプレゼン資料を作ろう
ここで紹介した3つのポイントを意識すれば、読んでもらえる業務マニュアルを作成できます。
しかし、これらの「読まない・理解しない・行動しない」を知っている人であっても、実際にこれらを考えてプレゼンをしている人は少ないです。
頭では分かっていたとしても、時間をかけて丁寧にプレゼンすれば、なんとかなるだろうと勘違いします。
しかし、ただ話を聞いて終わるプレゼンは本当に多いです。
この現実に直視して、プレゼン資料や説明内容を考える必要があります。
実際、私も同じように気をつけています。たとえば、このウェブサイトの記事を同じです。
私は記事を読んであなたに内容を理解してもらい、行動してもらいたいと思っています。
しかし、理解して行動してもらえる記事になっているかと言われると、必ずしもそうではないでしょう。
ただ読み手が理解し行動してこそ、私の書いた記事が価値を生みます。
聞き手を理解し、行動してもらえるプレゼン資料を作成してこそ意味があるのです。
このことを念頭に入れて、プレゼン資料を作成できるようになれば、自然と読まれるプレゼンができるようになります。