パソコンスキルやマクロVBAを学ぶとき、多くの人は間違った勉強をしてしまいがちです。その間違いの一つとして「資格を取ろうとする」というものがあります。
就職や転職では資格を取った方がいいように思うかもしれませんが、実際のところ資格があっても仕事には関係ありません。もちろん資格を取るメリットもあります。しかし、資格を取ることによるデメリットもあるのです。
実は、資格のデメリットを理解した上で、実績を積み重ねることが賢い方法です。この記事では、エクセルマクロVBAでは資格より実績を大切にするメリットをお伝えします。
なぜ資格より実績が重要なのか? 3つの理由
エクセルマクロVBAの資格に限らず、資格を取ることのメリットはあまりありません。もちろん、医師や税理士といった国家資格がないと仕事ができない場合は別です。
ただ、国家資格のような特別な場合を除いて、「資格があれば何とかなる」という考えは正しいとは言い切れません。
その理由は以下の3つです。
[2] 資格では仕事の実力をつけることができないから
[3] 資格で採用する企業は実力ではなく見た目を重視する可能性が高いから
以下で、詳しく説明していきます。
実績が重要な理由1|資格より実績の方が信頼できるから
あなたの身の回りの頼りになる人を思い浮かべると、どのような人でしょうか。おそらく実績を出している人でしょう。知識があっても実績がない人は頼りにしないはずです。
なぜなら、実績がない人を信頼するのは難しいからです。例えば、もし営業の仕事を習うなら、仕事で成果を出している人から教えてもらいたいと思うはずです。
MBAや東大卒のような高学歴の資格をもつ人を、高学歴だからという理由だけで信頼をしようとはしないはずです。
実績が重要な理由2|資格では仕事の実力をつけることができないから
多くの人は、資格を身につければ、その仕事ができるようになると考えているかもしれません。しかし、実際は資格を取得すれば仕事ができるようになるとは限りません。
その理由は、資格試験が答えのある試験だからです。例えば、大学受験のような試験では必ず答えがあります。
しかし、大学受験で高得点を取れたからといって仕事ができる人になれるわけではありません。
それは、仕事では正解のない答えを探す必要があるからです。詳しい理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ合わせて読んでみて下さい。
これは、パソコンスキルのような資格でも同じです。資格で学んだスキルだけで仕事を進めることができるものではないのです。
実務ではコスト、取引先との関係、業界の動向といったあらゆることを加味して仕事を進めていく必要があるのです。これらは資格試験だけでは身に付けることはできません。
そのため、たった一つの理想解があるような資格試験で勉強したところで、実務に使えるものにはならないのです
実績が重要な理由3|資格で採用する企業は実力を見る目が低い可能性が高いから
資格重視で人を採用する人事担当の場合、その企業全体が実力ではなく本物を見極める力が低い可能性が高いです。
なぜなら、採用すべき人を見極める人事が資格でしか人を判断できないことを言っているようなものだからです。
例えば、「AさんとBさんがいて、Aさんは資格はあるが実力がない。Bさんは資格はないが、実力がある。」とします。この場合、多くの人はBさんを採用したいと思うはずです。
しかし、自分が資格を取ろうする人の多くは、Aさんのようになろうとしているのです。
仮に、Aさんを採用するような企業に就職できたとして、資格があるかないかでしか、人の能力を評価しない会社で働くことになります。本当に、そんな会社で働きたいのでしょうか。
これは、異性との交際で考えてみるとわかりやすいです。「私は人の中身を重視している」と言いつつ、実際には資格をとることで「私の見た目はキレイです」と言ってしまっているのです。
実際、マクロの資格に関していえば、資格試験に合格したところでマクロを使えるようになりません。なぜなら、20%~30%程度の問題を間違えても合格できるからです。
間違えたらエラーが出て動かなくなるようなプログラムを扱う試験にも関わらず、問題に間違えても合格できてしまうのです。
これでは、試験に合格したところでマクロを書けるようになりません。
このように、以下の3つの理由から「資格があれば何とかなる」という考えは正しいとは言い切れないのです。
[2] 資格では仕事の実力をつけることができないから
[3] 資格で採用する企業は実力ではなく見た目を重視する可能性が高いから
ただし、「資格は100%無意味か?」と聞かれれば、そういうわけではありません。
資格のすべてがダメではない|資格の3つのメリット
実績が大切であることに変わりありませんが、資格が完全に無意味というわけではありません。なぜなら、資格があったほうが見た目がいいからです。
例えば、就職活動にはスーツで行く人がほとんどです。これは、スーツのほうが見た目がよく、好印象を与えるからです。資格もスーツと同じです。見た目をよくするために資格をとることが有効な場合あるのです。
主に以下の3つの場合です。
[2] 給料アップ(昇給したり資格補助をもらったりする)に役立つ
[3] 営業活動で役立つ
以下で、詳しく説明していきます。
資格のメリット1|就職や転職の「書類審査」と「面接」の見た目に役立つ
まずは職を得たいと考えている場合は、資格が有効の場合があります。なぜなら、全くの実績ゼロの状態では仕事につくことも難しいことがあるからです。
例えば、未経験から事務仕事に転職する場合、資格をもっていることで仕事を得やすいということはあり得ます。
そのため、未経験の場合は見た目を少しでもよくするために資格を取るのはアリかもしれません。
とはいえ、私ではあれば、実務直結の勉強をします。そして、その勉強の副産物として資格取得を目指します。
それは上述の通り、資格だけに頼って仕事ができるようになることはないからです。資格はあくまで実績を積むための足掛かりにすることを理解しておきましょう。
資格のメリット2|給料アップ(昇給したり資格補助をもらったりする)に役立つ
会社員や公務員と働いている人の場合、資格があると社内キャリアアップしやすくなることがあります。
例えば、他部署へ異動したいときに資格があることで推薦をもらいやすくなることがあります。
また、派遣社員などの場合、資格をもっていることで、資格補助をもらえることがあります。実際、私は派遣社員として勤務していたとき、Excel VBA エキスパート スタンダードを取得していると数千円/月の資格補助がありました。
このように、企業によっては資格でキャリアアップや収入アップできる可能性があります。その場合は、資格取得を考えてみてもいいかもしれません。
資格のメリット3|営業活動で役立つ
パソコン教室の先生や家電量販店のパソコン売り場の営業担当者であれば、パソコンの資格をもっておくと便利な場合があります。
なぜなら、一般ユーザーからみると、VBAの資格やパソコンの資格をもっている人をプロと考えてくれるからです。
これは、TOEIC800点を取得している人を考えてみればわかりやすいです。一般的にTOEIC800点あれば、英語のスペシャリストに思えます。
しかし、現実はTOEIC800点でも英語を話せない人は何人もいます。これは英語をしっかり学んできた人なら知っていることです。
ただ、パソコン教室やパソコン売り場で相手にするのはパソコン初心者のお客さんがメインです。したがって、本当の実力がなくても、説得力をもって説明できれば十分でしょう。
このように、実力よりも見た目が大切な職場では資格は効果を発揮することは少なくないのです。
実績があれば資格がなくても仕事ができる
このように資格より実績の方が重要です。もし、仕事を得るために「資格を持っていた方がいいではないか」と考えているなら、実績を積むことが先決です。
例えば、「○○系会社でマクロを書き、○○だった仕事を改善し、○○にしました。その結果、○○時間削減しました。」とエントリーシートや職務経歴書に書くのです。
そうすれば、実力を理解してくれる企業に就職・転職することは難しいことではありません。
実際、私はエクセルマクロVBAの資格を持っていません。それでも私はエクセルマクロを使って、仕事を何百時間も効率化してきました。
また、このサイトに直接問い合わせをいただいて、相談にのることもあります。このとき、エクセルマクロの資格は一つも利用していません。
つまり、資格がなくても仕事はもらえるのです。むしろ、資格の勉強をする時間があるなら仕事を通じて実学で学び、実績を積み上げていった方が賢明です。
資格のメリットを理解しているなら資格取得もあり
職務経歴書に書けるような実績をもっていて、資格によるメリットを活かせるなら、資格取得を考えるのも良い選択と言えます。
なぜなら、マクロの試験について言えば、実績をもっている人からすれば試験自体は簡単だからです。
ただし、資格を取れば「就職活動がうまくいって、自分の希望通りの企業で働くことができる」と考えているなら、それは違います。
その理由は、上記で説明した通りです。
もし、資格を取っていい企業に就職した友人いたり仕事の求人募集を見たりして、「資格を取らなくては!」と考えているなら、資格を取る前に実績を積むことを考える方が先決です。
「資格さえあればなんとかなる」と思っているのは、「見た目さえかわいければチヤホヤされる」と言っているのと同じような状態です。
見た目だけを気にする安い人間になってしまうのか、実績を積んで中身で勝負するのか、は一度考えてみてください。。
仮に資格をとるとしても、本当のメリットを考慮した上で資格取得を目指すといいでしょう。