エクセル内の複数シートのデータを一つに集約にする作業があります。
このページでは、エクセルシートの各データを一つに集約するVBAプログラムを紹介します。
・VBAプログラム入りのエクセルをダウンロード可能
ページ下部で紹介するVBAプログラムをダウンロードすることもできますので、ぜひお仕事にご活用ください。
なおこのページでは、複数エクセルを一つに集約するVBAプログラムを紹介していますが、一つのエクセルから複数ファイルに転記するVBAプログラムもあります。
これは以下で紹介していますので、興味がある人はご覧ください。
目次
エクセル内の複数シートのデータを一つに集約するマクロの概要
このページでは、エクセルの各シートのデータを一つに集約するマクロを紹介します。
もう少し具体的に流れを説明します。
2. ボタンを押してVBAを実行(エクセルにデータを集約)
1. エクセル内の各シートのデータを取得
上記のようにエクセルには複数シートがあります。
このエクセルは以下のようなデータが格納されています。
上記のようなデータが各シートに入力されているので、これらを一つのエクセルシートに集約していきます。
2. ボタンを教えてVBAを実行(エクセルにデータを集約)
「各シートのデータ集約」のボタンで、VBAプログラムを実行します。
これにより各シートのデータを取得し、以下のように一つのエクセルに集約します。
ボタンにVBAプログラムを登録
上記の画像では、VBAプログラムをボタンに登録しています。
ボタンにVBAプログラムを登録することで、ボタンを押下しプログラムを実行することができます。
ボタンをVBAプログラムを設定したい場合は、以下で動画も交えて設定方法を紹介しているので、そちらをご覧ください。
VBA入りのエクセルファイルをダウンロード
以下で紹介しているVBAプログラムをそのまま使いたい人は、以下のフォームからダウンロードできます。
登録したメールアドレスへ「VBAプログラムが含まれたエクセル」を送信します。
本プログラムの内容をそのまま使用可能です。ぜひお仕事にお役立てください。
VBA作成前の事前準備
ExcelでVBAを使うためにはいくつかの準備が必要です。
具体的には以下です。
上記の2つに関して、以下で説明します。
1. ExcelでVBAを使うための事前準備
Excelで、以下の2つの準備をします。
2. 開発タブを追加
保存ファイルの拡張子変更、Excelの基本設定変更の2つです。
2つともで難しい作業はなく、それぞれ1分もあれば設定変更可能です。
上記に関しては、以下の記事で解説をしています。
もしVBAを使うための準備段階に不安がある人は上記をご覧ください。
この内容は以下の動画で紹介しています。
入門エクセルマクロの使い方|マクロ作成から実行までを徹底解説
文字や画像だけで分かりづらい人は上記の動画をご覧ください。
それでは、以下でプログラムについて詳細を説明します。
VBAのプログラムソース解説
今回紹介するプログラムの概要は以下です。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 |
'プログラム0|変数設定の指定 Option Explicit 'プログラム1|プログラム開始 Sub GetExcelDataInAllSheets() 'プログラム2|シート設定 Dim ws1 As Worksheet Set ws1 = ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1") 'プログラム3|エクセル内の全シートを順々に取得 Dim ws As Worksheet For Each ws In ThisWorkbook.Worksheets 'プログラム4|対象シートが「Sheet1」ではない場合のみ処理 If Not ws Is ws1 Then 'プログラム5|対象シートの最終行を取得 Dim cmax As Long cmax = ws.Range("A65536").End(xlUp).Row Debug.Print ws.Name & "のcmax=" & cmax 'プログラム6|対象シートのデータを転記 Dim i As Long For i = 2 To cmax Dim cmax1 As Long cmax1 = ws1.Range("A65536").End(xlUp).Row ws1.Range("A" & cmax1 + 1 & ":E" & cmax1 + 1).Value = ws.Range("A" & i & ":E" & i).Value Next End If Next 'プログラム7|エクセルを上書き保存 Application.DisplayAlerts = False ThisWorkbook.Save Application.DisplayAlerts = True 'プログラム8|プログラム終了 End Sub |
以下で詳しく説明していきます。
プログラム0|変数宣言の指定
1 |
Option Explicit |
「Option Explicit」とは、変数宣言を強制するためのものです。
これを入れておくと、変数を定義していない場合、エラーが出ます。
つまり、「Option Explicit」を入力しておくことで、たとえば「Dim i」をあらかじめ入力しないと、「i」という変数を使えません。
もし「Option Explicit」を入力しているのに、「Dim i」を書かずに「i = 1」と書くと、エラーメッセージが表示されます。
実は、この機能はあくまでオプションです。「Option Explicit」を入力しなくても、プログラムは動きます。
しかし、これを入れておくことで、変数の誤記によるエラーを防止することができます。
結果的に、プログラム作成速度が上がるので、「Option Explicit」を入力することを習慣化することをオススメします。
プログラム1|プログラム開始
1 |
Sub GetExcelDataInAllSheets() |
「Sub GetExcelDataInAllSheets()」のプログラムを開始することを意味します。
VBAではプロシージャという単位でプログラムを呼び出します。
プロシージャの構文は下記となっています。
1 2 3 |
Sub プロシージャ名() '実行プログラム End Sub |
「Sub」で始まり「End Sub」で終わります。
「Sub XXXX」の「XXXX」の部分がプロシージャ名です。
このプロシージャ名はあらゆる文字(アルファベット、ひらがな、漢字、数字など)が使用可能です。
ただし、プロシージャ名の先頭は数字を入れるとエラーとなります。
あとで見たときに、「何のプログラムだったのか?」とならないようにするためです。
なお、「()」の中には何も記入されていません。これは引数なしという意味です。なお、プログラム2-1では引数を受け取ってプログラムを実行します。
初心者の内は、引数ということが分からなくてもVBAプログラムを書くことは可能です。
興味があれば、「VBA 引数」で検索して調べてみてください。
プログラム2|シート設定
1 2 |
Dim ws1 As Worksheet Set ws1 = ThisWorkbook.Worksheets("Sheet1") |
ws1をワークシート型で変数設定し、VBAが保存されているエクセルの「Sheet1」シートをws1とします。
プログラム3|エクセル内の全シートを順々に取得
1 2 |
Dim ws As Worksheet For Each ws In ThisWorkbook.Worksheets |
エクセル内の全シートを取得します。
全てのシートが対象となっているかどうかを、「ws.Name」を使ってDebug.Printで検証してみます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 |
Dim ws As Worksheet For Each ws In ThisWorkbook.Worksheets Debug.Print "wsのシート名:" & ws.Name Next >>>wsのシート名:a >>>wsのシート名:b >>>wsのシート名:c >>>wsのシート名:d >>>wsのシート名:e >>>wsのシート名:f >>>wsのシート名:g >>>wsのシート名:h >>>wsのシート名:i >>>wsのシート名:j >>>wsのシート名:Sheet1 |
上記のように全シートが取得できているのが分かります。
プログラム4|対象シートが「Sheet1」ではない場合のみ処理
1 |
If Not ws Is ws1 Then |
Sheet1は対象外のため、wsの対象がSheet1(ws1)のときは省略するようにIf文を作ります。
対象から外れているかどうかをDebug.Printで検証してみます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 |
For Each ws In ThisWorkbook.Worksheets If Not ws Is ws1 Then Debug.Print "wsのシート名:" & ws.Name End If Next >>>wsのシート名:a >>>wsのシート名:b >>>wsのシート名:c >>>wsのシート名:d >>>wsのシート名:e >>>wsのシート名:f >>>wsのシート名:g >>>wsのシート名:h >>>wsのシート名:i >>>wsのシート名:j |
「Sheet1」を除いて対象になっていることが分かります。
プログラム5|対象シートの最終行を取得
1 2 3 |
Dim cmax As Long cmax = ws.Range("A65536").End(xlUp).Row Debug.Print ws & "のcmax=" & cmax |
各シートA列の最終行を取得します。上記の画像はシート「a」の最終行を表示しています。
Debug.Printでチェックしてみます。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 |
For Each ws In ThisWorkbook.Worksheets If Not ws Is ws1 Then Dim cmax As Long cmax = ws.Range("A65536").End(xlUp).Row Debug.Print ws & "のcmax=" & cmax End If Next >>>aのcmax=111 >>>bのcmax=77 >>>cのcmax=108 >>>dのcmax=102 >>>eのcmax=106 >>>fのcmax=99 >>>gのcmax=101 >>>hのcmax=98 >>>iのcmax=82 >>>jのcmax=89a |
上記のように、各シートごとにcmax(最終行)を取得することができます。
プログラム6|対象シートのデータを転記
1 2 3 4 5 6 7 8 |
Dim i As Long For i = 2 To cmax Dim cmax1 As Long cmax1 = ws1.Range("A65536").End(xlUp).Row ws1.Range("A" & cmax1 + 1 & ":E" & cmax1 + 1).Value = ws2.Range("A" & i & ":E" & i).Value Next End If Next |
ここでは各シート(ws)のデータを、Sheet1(ws1)に集約します。
このプログラムで、以下のようにデータがSheet1にデータを集まていきます。
cmax1でws1の最終行を取得する理由
4 5 |
cmax1 = ws1.Range("A65536").End(xlUp).Row ws1.Range("A" & cmax1 + 1 & ":E" & cmax1 + 1).Value = ws2.Range("A" & i & ":E" & i).Value |
ここでは各シートのデータを1行ずつ転記するたびに、Shee1(ws1)の最終行をcmax1として新たに取得し直すプログラムにしています。
このプログラムによって、ws1の最終行にデータがどんどん出力されていきます。
他にも方法はありますが、データを最終行に次々と入れ込んでいきたい場合は、上記のプログラムで対応可能です。
範囲を指定してデータを出力
5 |
ws1.Range("A" & cmax1 + 1 & ":E" & cmax1 + 1).Value = ws2.Range("A" & i & ":E" & i).Value |
ここではA列~E列の範囲でデータを出力しています。以下の形で変数と使って、範囲を指定してデータを取得することが可能です。
覚え方としては、「Range(“A1:E1”).Value」の「1」の部分を変数に置換すると「Range(“A” & i & “:E” & i).Value」となります。
「&」をうまくつながないとエラーが出るので、注意が必要です。
プログラム7|エクセルを上書き保存
1 2 3 |
Application.DisplayAlerts = False ThisWorkbook.Save Application.DisplayAlerts = True |
ワークブック.Save
この事例では、ThisWorkbookは「Excel12_sheets_data.xlsm」であり、このエクセルファイル名のまま上書き保存します。
ワークブック.Save
Application.DisplayAlerts = True:エクセルの警告メッセージを表示する
VBAプログラムを動かしているとき、警告メッセージが表示されると、VBAプログラムが停止してしまいます。
そこで「Application.DisplayAlerts」を使うことで、警告メッセージの表示をコントロールします。
ここではエクセルファイルを保存するプログラムの前後で、「Application.DisplayAlerts」のFalseとTrueをスイッチしています。
こうすることで、VBAプログラム実行中に警告メッセージの表示されないようにします。
プログラム8|プログラム終了
1 |
End Sub |
プログラム1と対になるプログラムで、プログラム終了させるための記述です。
「End Sub」を読み込むと、プログラムが終了します。
プログラムの解説はここまでです。
Excel VBAについて詳しく理解したいなら
VBAを活用すると、仕事を効率化できる幅を広げることができます。
たとえば私が実際にVBAを活用して効率化してきた作業は以下の記事で紹介しています。
興味がある人は以下の記事もご覧ください。
動画でも解説しています。
エクセルマクロVBAで出来ることを15の事例で紹介|日常業務をラクにするヒントを見つけよう!
(音声が小さいので、ボリュームを上げてご覧いただければと思います)
VBAの勉強方法
私はプログラミング初心者からVBAを勉強を始めて少しずつレベルアップしていきました。
成長の過程は以下で紹介しています。
学習の過程では、意識すべきポイントがあります。
特に独学の場合だと、勉強を優先してしまい、肝心な実践を疎かにしがちです。
私の経験では、実践から逆算した勉強が必要だと考えています。
目指すべきは会社でお金をもらいながら勉強することです。
要はVBAを仕事の一つとして上司に認めてもらうのです。
そうすればわざわざ高いお金を払って勉強をする必要がなくなります。
しかも作業を自動化して、会社やチームに貢献しつつ、自らのスキルアップできます。
そのために必要な考え方を以下で紹介しています。
とはいえ、プログラミング初心者でVBAについて知識ゼロの人もいるはずです。
いきなり会社でVBAで使うことさえ、とてつもなくハードルが高く見えてしまうものです。
その場合は、VBAの基本について学ぶ必要があります。
たとえば車の運転も慣れてしまえば、たいしたことではありません。
しかし教習所で運転の基本を学び、免許を取得することで、公道で運転できるようになります。
VBAも同じです。VBAに免許はありませんが、まずは基本を学ばないことには会社で使えるレベルにはなりません。
実際に私もプログラミング初心者のときは、動画を見たり書籍を読んだりして勉強しました。
今はオンラインの教材で無料で学習できるものも多いです。
上記のリンクでは、私の経験から勉強にオススメの教材を紹介しています。
興味がある人はご覧ください。
VBAを自分で書けるようになる
さて、本記事で紹介したマクロを利用すれば、作業の自動化が可能になります。
しかしデメリットもあります。それはカスタムできないことです。
なぜなら、色々な要望が増えるからです。
この動画を見たとき、「もっと○○ができるのでは?」や「ここはなんとかならないのか」と感じる人は少なくないはずです。
例えば、「他の条件を付け加えたい」や「日付毎に条件を変えたい」といった要望が出るかもしれません。
このような要望を満たすには、マクロを勉強して自力でマクロを編集できるようになる必要があります。
もし、自力でマクロを編集できるようになれば、今より仕事の効率はグッと上がります。
実際、私も自力でマクロを書けるようになってからは、仕事の生産性が一気に上がりました。
他の人が30分~1時間かけて行う仕事が、ボタン一つで終わらせることができるようになったのです。
その結果、周囲からの信頼も増し、仕事で高い評価を得られるようになりました。
ただ、要望に応えるようになるためには、マクロを学ぶ必要があります。
まずは無料でマクロを勉強してみる
ウェブや書籍で勉強すれば、マクロを習得できると考えている人は少なくありません。
しかし、仕事で使えるマクロを習得したいなら、仕事で使える部分に特化した教材で学ぶことをお勧めします。
なぜなら、ウェブや書籍には仕事に関係しない部分まで提供していることが多いからです。
例えば、マクロ初心者なのに配列を学ぼうとする人がいます。実は配列なしでも仕事で使えるマクロを書くことは可能です。
しかし、マクロ初心者ほど「全ての知識が必要だ」と考えて、無駄な学習に時間を使ってしまうのです。詳しくは、こちらの記事で紹介しています。
そこで、私がお勧めするのは仕事に直結するマクロ教材です。とくにお勧めするのは、こちらの無料オンライン動画です。
なぜなら、仕事に直結する部分に絞って、エクセルマクロを学ぶことができるからです。
マクロの作り方・考え方から解説しているので、教材をしっかり学べばここで紹介したマクロをゼロから書けるようになります。
マクロ初心者が、仕事に直結したいマクロを学ぶなら、まずはこちらの無料オンライン動画を試すのがいいです。
興味がある人は、まずは無料でエクセルマクロの勉強を始めてみてください。
もっと学びたいと感じたら、さらに深く勉強をしてみることをお勧めします。