エクセルでのデータの取りまとめは、時間のかかる業務の一つです。特に、支店や拠点のデータを集計する業務となると、どの企業でも共通する課題や難しさがあります。
たとえば、「担当や支店毎にエクセルのデータの取りまとめ方が違う」「修正を依頼しても直してくれない」「エクセル関数では重くなりファイル破損の危険がある」という悩みは、データの取りまとめ業務で起こりがちな課題です。
しかし、これらの課題をそのままにしておいても解決されません。むしろ、追加の要求がきたり、ミスが増えたりしてしまい、他の仕事の進みにまで影響してしまいます。
ただ逆にいえば、このような仕事を解決すれば、あなたの負担が減るだけでなく、面倒な作業を減らすことで周囲から評価をもらえます。
この記事では、担当や支店毎に異なるエクセルシートの管理や集計を改善する方法を紹介します。また、エクセルマクロを使って、劇的に効率化する方法もお伝えします。
目次
エクセルでのデータとりまとめで起こる3つの悩み
エクセルでのデータのとりまとめは、どの企業でも行われる作業の一つです。
例えば、ある企業の担当者は、50を超える支店から大量の試算表データが届いて、それを集計する作業をしていました。
支店ごと、部門ごと、会社ごと、全社連結の損益実績の対前年比、対予算比、年間予測が見えるような資料を作るのです。
担当者は、送られてくるエクセルは100近くのブックを処理するのに四苦八苦していました。
なぜなら、そこには以下のような3つの悩みがあったからです。
悩み2|修正を依頼しても直してくれない
悩み3|エクセル関数では重くなりファイル破損の危険がある
一つずつ詳しく説明していきます。
悩み1|担当や支店毎にエクセルのデータの取りまとめ方が違う
担当者に送られるエクセルはファイル毎にブックやシートの命名法、データの種類に全く統一感がありませんでした。
例えば、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書を異なるエクセルファイルに保存している場合もあれば、一つのエクセルシートに記入している場合もありました。
とくに貸借対照表は「資産」と「負債・純資産」で別のブックにしていることもあります。
これだけではありません。エクセルのデータも経理担当者や部門責任者の都合で、送り元によって項目が異なっていることもあるのです。
さらに悪いのは、送り元によっては独自の算出方法が存在するため、データの数字を見ただけでは理解できないこともあります。
このように、担当や支店毎にエクセルのデータの取りまとめ方が違うのです。その結果、データを取りまとめをするだけで混乱してしまい、とても負荷の大きな業務になってしまいます。
悩み2|修正を依頼しても直してくれない
もちろん、悩み1のような混乱が生じる場合、エクセルの送り元に改善の相談をします。
例えば、ファイル名のルールやデータの項目については、改善要望を出したとします。
このときこちらがお願いをしたときには、その通りに修正してくれます。しかし、しばらくすると「元に戻ってしまう」ことが繰り返されてしまいます。
結局、相談しても、改善が見込めないため、自分でなんとかするしかするしかないと感じてしますのです。
悩み3|エクセル関数では重くなりファイル破損の危険がある
自分でなんとかしようと思う人が行きつく手段として、エクセル関数での効率化です。
エクセル関数を勉強して、仕事で使ってみると効率化される場合があります。実際、エクセルのひな形を作成して関数を組めば、自動計算させることも可能です。
また、少し難易度の高いですが、ブック間での参照を多用して計算すれば手入力で行うより改善されます。
しかし、このやり方だとどうしてもエクセルが重くなってしまいます。そのため、エクセルが頻繁に強制終了してしまったり、ファイルが破損してしまったりします。
エクセル操作中に強制終了してしまうと、計算がどこまで行われたかわからなくなってしまいます。その結果、修正すべき箇所に気付かずに、間違ったままで書類を提出してしまうことにもつながりかねません。
このような悩みを抱いている人の多くは、このストレスをかかえたまま仕事を続けることになります。
もちろん、エクセル関数で解決しようとするアイデアは悪くはないです。しかし、もっと上手に改善する方法があります。
実際、正しいやり方で効率化すれば、サクサクと集計作業を行うことができるようになります。しっかりとしたロジックで流れを作れば、何十時間も効率化するのは難しいことではありません。
では、どのようにすれば、このような悩みを解消し、仕事を劇的に効率化できるのでしょうか。
エクセルシートの管理・とりまとめ作業を改善するときの方針
改善方法は簡単で、エクセルで仕事の流れを作成します。
とはいえ、これだけではイメージしづらいと思います。そこで、ステップバイステップで具体的に考えていきます。
その前に状況を整理します。担当や支店毎に異なるエクセルシートの管理や集計が難しくなるのは、以下のような課題があるからです。
[2] これらのファイルは、他の部署や拠点の担当者から来る
[3] これらのファイルには、書式が統一されていない
[4] そのため、情報集約作業の工数が多く、ミスも出る
[5] 関数を習得してもファイルが重くなり、自動化が上手くいかない
[6] 送り元の担当者に書式の統一を依頼しても思うように効果がでない
これらの課題が発生している原因を考えると、この仕事がうまくいかない原因が見えてきます。それは、エクセルの書式が統一されていないことです。
エクセルで管理や集計業務を効率化する方法|具体的なステップで解説
このようなエクセルでの仕事の場合、エクセルの書式が統一されていないことで、様々な弊害が生じます。そのため、「書式を統一する」という解決策を講じていきます。
ただ、このような他部門とのやりとりが絡むときには、「自分の作業が改善されるように書式を統一する」というレベルの改善に留めることはお勧めしません。
その代わりに、周囲の人の仕事も改善してしまうように進めることをお勧めします。
なぜなら、結果的に自分の仕事も楽になるからです。さらに、周囲の人の仕事を改善することで、あなたの社内での評価が高まるきっかけにもつながります。
それでは、改善に向けた具体的なステップを解説していきます。
ステップ2|上司と協力して、他部署の協力を要請する
ステップ3|担当者の仕事が減るようにエクセル作業を変える
ステップ4|提案したエクセルを担当者に使ってメリットを感じてもらう
ステップ5|出てきた課題を改善する(業務手順書と追加機能付与)
ステップ6|ステップ4~6に専念できるよう上司に要請する
ステップ7|成果を社内で発表する
一つずつ詳しくお伝えしていきます。
ステップ1|費用対効果を明らかにし、部門間連携の課題として上司に提案する
この仕事の費用対効果を明らかにした上で、部門間連携の課題として取り扱うよう、上司に協力を要請します。
具体的には、担当者に来るエクセルファイルの書式が統一されていないために、どれだけのロスが発生しているかを、数値で明らかにします。
このとき、おおよそでいいので概算値を提示することが大切です。
「書式統一されていないエクセルファイル」と「書式が統一されているエクセルファイル」での作業時間を比較するのです。
書式が統一されていれば、ボタン一つを押すだけで済む仕事だとします。
1回あたり○時間かかっている。年間で言うと、x12して、●●時間かかっている。
また、△△なミスが発生し、いったん提出したファイルについて出戻りが生じる。その再修正でさらに○時間かかる。
私の人件費で考えると、毎月○○○万円、年間で言えば●●●万円のロスが発生している。
さらに、資料が外部向けのものであれば、取引先からの信用が失われてしまう。売上にまで影響する可能性もあります。
「ここまでするのか。」と考えるかもしれません。しかし、実際に私の知り合いは、エクセルマクロを使って事務作業を改善したたことで、営業部門の提案力を強化させた人がいます。
その結果、会社の営業スタイルに根本から変化が生じ、200億円以上の売上増を実現させたのです。その人は、その功績が認められて年収が210万円あがりました。
このように、数値やストーリーを使って「この課題を解消することに価値がある」ことを上司に訴求します。
そうすることで、上司を巻き込み部署レベルの問題として他部署との調整に持ち込みます。
提案については、こちらの記事を参考にしてみて下さい。論理的に伝える方法をご紹介しています。
ステップ2|上司と協力して、他部署の協力を要請する
ステップ1で上司を巻き込んだら、次はデータの送り元の部署から協力を得られるように動きます。
ここでは、担当者同士で直接やりとりをするのではなく、部署同士の話し合いとして、要請するのがコツです。
なぜなら、個人的な依頼では、すぐに元に戻ってしまうからです。実際、改善要望を出しても、そのときは「はい、わかりました」と返答をもらえます。しかし、すぐに改善要望は忘れさられてしまいます。
ただ、データの送り元が多い場合は、一度にすべてを改善するのは難しいかもしれません。その場合は、部署間のやりとりが多い部署から依頼することをお勧めします。
ただし、そのときに重要なポイントがあります。それが、以下のステップ3です。
ステップ3|担当者の仕事が減るようにエクセル作業を変える
他部署や支店の担当者がエクセルでデータを入れ込むとき、書式がバラバラにならないようにエクセルを設計します。
例えば、マクロの「フォーム」機能を作り込んだファイルを配布します。
このとき、他部署の担当者が使用すると、「楽になる」や「メリットがある」と感じられるものを作るのが重要です。
具体的には以下のようなフォームを作成すると、作業は劇的に改善します。
2分30秒ほどの短い動画なので、ぜひご覧になることをお勧めします。エクセルマクロを使えば、こういう機能を自分で作りだすことが可能です。
残念ながら、「人にルールに従え」と言っても限界があります。逆に、スキルさえあれば、パソコンでルールを作ることができます。
人にルール遵守を強いて神経をすり減らさせるよりも、パソコンで仕組みを作ったほうがよっぽど喜ばれます。
実際、入力をフォームからに限定すれば、人的ミスや抜け漏れがほぼ改善されます。その結果、書式に従わない資料が送られるリスクを大きく軽減させることができます。
ステップ4|提案したエクセルを担当者に使ってメリットを感じてもらう
ただし、ここで大切なのは、他部署の担当者にとって「手入力より、このフォームを使う方が断然楽で正確。いい!」と感じてもらえるレベルでフォームを作り込むことです。
なぜなら、「自分がいい」と思ったら、それを自発的に使ってくれるようになるからです。逆に、人から言われたルールには従ってくれることは多くありません。
例えば、勉強したくない子供に「もっと勉強しなさい」と命令しても勉強をしないでしょう。しかし、「自分が勉強したい」と思う何かがあれば、何も言われなくても自発的に勉強するようになります。
仕事も同じです。他部署の担当者が「これってすごい使い勝手がいい」と思ってもらうほどの感じてもらえることが大切なのです。
このとき、「ちょっと○○なんですよね。」というネガティブな反応や「もっと△△があれば」という要望が来ることがあります。
これはチャンスです。次のステップで、これらの望みをかなえ、確実に使ってもらえるように改善を行います。
ステップ5|出てきた課題を改善する(業務手順書と追加機能付与)
相手の要望次第ですが、その要望を形にできるように改善を行います。
例えば、「このフォームを使えば、いつも作っている資料もついでに作れます」や「このフォームを使えば、前から作りたかったこんな資料も作れる」といった部分までサポ―トするのです。
仮に、すべてをカバーできなくても、「資料ドラフトに利用できる」といったレベルでも十分に喜ばれます。
例えば、マクロを使えば以下のことができます。かなり汎用性があるので、相手の要望に応えるのは難しいことではありません。
ただし、すべての課題を解決することはできません。どうしても課題解決できない部分は、業務手順書でカバーします。
業務手順書の書き方は、こちらの記事で紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。
ここまですれば、他部署や支店の担当者もあなたの仕組み化に喜んで協力してくれます。しっかりコミュニケーションを取るのが重要です。
ステップ6|ステップ3~5に専念できるよう上司に要請する
ステップ3~5に専念できるように上司に要請しましょう。ステップ6ではなく、ステップ3~5をやりながらでも構いません。
具体的には、「この案件は、自部署にとっても他部署にとっても、大きな費用対効果の見込める業務改善案件です。」と理解してもらうのです。
他部署からのヒアリングの状況や改善効果を示して、「この改善業務に力を注ぐために」ということで、他の仕事のうち重要でなさそうなものは、極力減らしてもらいます。
ステップ7|成果を社内で発表する
最終的に、結果を出したらそれを報告します。
企業によっては、業務改善事例を共有する場あります。そのようなものがあれば、発表することをお勧めします。
そのとき、社内での業務改善事例を上司の手柄とするのがお勧めです。
上司の協力が少なかったとしても、これをやることは大きな意味を持ちます。
これを達成できれば、あなたの社内での株も大幅に上がります。次の大きな仕事をもらえるきっかけになることは間違いありません。
それを2,3個こなせば、あなたのキャリアの次のステップも具体的に見えてきます。
そうなれば、その企業でステップアップしていくか、転職してキャリアアップするかを選択できるようになります。
改善ステップのまとめ
進め方をまとめます。
他部門とのやりとりが絡むときには、「自分の作業が改善されればよい」というレベルの小さい改善に留めず、大きい改善の案件にしてしまう
理由
結果的に自分の仕事も楽になりますし、周囲の仕事の改善にもつながります。本質的な改善は、あなたの社内での評価を大いに高めてくれます。
ステップ1|費用対効果を明らかにし、部門間連携の課題として上司に提案する
ステップ2|上司と協力して、他部署の協力を要請する
ステップ3|担当者の仕事が減るようにエクセル作業を変える
ステップ4|提案したエクセルを担当者に使ってメリットを感じてもらう
ステップ5|出てきた課題を改善する(業務手順書と追加機能付与)
ステップ6|ステップ4~6に専念できるよう上司に要請する
ステップ7|成果を社内で発表する
大きな改善案件になるほど、あなた自身の限界を超える必要が出てくるかもしれません。
実際、スキルにしても、コミュニケーションにしても、これまでのレベルでは不安を感じてしまう人もいるでしょう。
しかし、こういった課題に直面し、何か策を講じたいと考えているなら、それはチャンスだとも言えます。マクロのようなスキルを身につけ、限界は超えるチャンスです。
メジャーリーガーとして有名なイチローさんは以下のことを話しています。
「壁っていうのは、できる人にしかやってこない。超えられる可能性がある人にしかやってこない。だから壁があるときはチャンスだと思っているし、壁を越えたときには確実に前よりも力がついている。」
こういった機会は、何度も訪れるものではありません。もちろん、これをチャンスと思うかはあなた次第です。
ただ、この記事を読んでいるあなたには大きなチャレンジを通じて成長につながてほしいと私は思っています。
エクセルを正しく使うためのスキルを学ぶには
ここまで紹介した方法を実践するには、スキルが必要です。とくにエクセルの正しい使い方を学んでおく必要があります。
こちらの記事で紹介していることは最低限知っておくと、改善に役立つはずです。
また、エクセルマクロのスキルを学んでおくと、様々な業務を劇的に改善させることができるようになります。
ただ、マクロ初心者だったりマクロなんて聞いたこともないという人からすれば、「本当に自分が使えるようになるのか。」という疑問を持っているはずです。
実際、私も最初はエクセル関数すら、まともに分からず、苦労しました。インターネットでcountifを調べて、なんとか使えるくらい…そんなレベルでした。
そして、マクロは関数より難しいというイメージもあったので、マクロなんて使えるようになるのか不安でした。
しかし、プロフィールでお伝えている通り、たまたまマクロの存在を知り、少しずつ学んでいきました。
そして、エクセルマクロで年間100時間以上の業務効率化を行うことができるようになったのです。一番大変だったのは、最初の一歩でした。一歩を踏み出した後は、早かったのを覚えています。
私がマクロ習得までにやったことはこちらの記事で詳しく解説しています。
もし、「マクロについて何から始めればいいのか分からない…」と感じているのであれば、こちらの無料オンライン動画がお勧めです。
書店やamazonで本を探すのもいいですが、どうしても探す時間とお金がかかってしまいます。しかし、こちらであれば無料で簡単なマクロなら作れるようになります。
ただ、何より大切なことは、「あなた自身がこれだ!」と思えるかどうかです。ぜひピンとくるものを探してみてくださいね。
このサイトでも、業務改善からマクロまで幅広く紹介しているので、ぜひ読んでみてください。