エクセルマクロでデータをQ別(四半期ごと)の合計を出力｜VBAサンプルをダウンロード可

仕事をしていると、四半期ごとのデータを集計したいときがあります。

たとえば、上層部に報告するデータ集計でQ別に試算する人も少なくないはずです。

しかし四半期のデータ計算を手入力で実施すると、ミスが増えてしまいます。

そのためこのような定型作業はマクロで作業自動化してしまうと、効率的に作業を終わらせることができます。

そこでExcelマクロを活用した「Q別のデータ集計VBAサンプル」を紹介します。

なおこのページで紹介しているサンプルの他に、以下のページでデータ集計に関して紹介しています。

もし毎月毎週毎日のデータ集計も効率化したいのであれば、上記のページもご覧ください。

それでは四半期ごとのデータ集計を効率化するVBAプログラムについて、詳しく紹介していきます。

エクセルマクロでデータを四半期の集計値として表に出力する

このページでは、もともとのデータ一覧に入力された値を取得して、計算して表に出力します。

以下で使い方の手順を紹介します。

手順1. データ一覧を入手

本事例のVBAプログラムで処理を行うデータは、画像のとおり4つのデータが含まれます。データ数は316です。

実際の業務では、上記の情報が同じ列に含まれていることはないはずです。

そのため、もし実際の業務で使いたいのであれば、本事例で紹介するVBAプログラムを編集して使用する必要があります。

後半でVBAプログラムについて解説をしていますので、必要箇所を修正ください。

手順2. 表に「年」と「Q」を入力

Q別のデータを取得したい「年」と「Q」をA列とB列に入力しておきます。

たとえば上記の画像では「2021年1Q」から「2022年4Q」までのデータをQ別の合計値で出力したいので、A列に「2021,2022」をB列に「1Q,2Q,3Q,4Q」を入力してあります。

このページで紹介するVBAプログラムを使って、Q別の合計値をC列~H列に出力します。

A列とB列に入力する年やQをVBAで出力させることも可能ですが、ここは手入力で行う方が効率的です。

VBAを使ってすべてを自動化するのではなく、自動化したほうが良いポイントを見定めてVBAに処理をさせるほうが現実的です。

そのため、あらかじめデータを計算したい年とQを手動で入力しておきます。

手順3. 各Qの開始月を入力

M列に各Qの開始月を入力しておきます。

なぜなら各Qの開始月は企業によって異なるからです。1Qを4月~6月としている企業もあれば、7月~9月という企業もあります。

そのためエクセル上で入力して変更できるようにしています。

今回の事例では、以下の開始月を設定します。

開始月は企業ごとに異なるため、必要に応じて、M列の値を変更します。

手順4. Q別の合計値を計算するVBAプログラムを実行

手順1～手順3の作業が完了したら、VBAプログラムを実行します。

VBAを実行すると自動計算され、表に金額の合計が出力されます。

ボタンにVBAプログラムを登録する方法

本ページではVBAプログラムをボタンに登録しています。

ボタンにVBAプログラムを登録することで、ボタンを押下しプログラムを実行することができます。

ボタンをVBAプログラムを設定したい場合は、以下で動画も交えて設定方法を紹介しているので、そちらをご覧ください。

それでは、以下でプログラムについて詳細を説明します。

VBA入りのエクセルファイルをダウンロード

以下で紹介しているVBAプログラムをそのまま使いたい人は、以下のフォームからダウンロードできます。

登録したメールアドレスへVBA入りのファイルを送信します。

本プログラムの内容をそのまま使用可能です。ぜひお仕事にお役立てください。

ダウンロードできるエクセルについて

上記のフォームからダウンロードできるエクセルファイルには以下の4つのVBAプログラムが含まれています。

上記のVBAプログラムは、それぞれ以下のリンクで詳しく説明しています。

・Module1:月別処理

・Module2:週別処理

・Module3:日別処理

・Module4:Q別(四半期)処理

詳細を知りたい人は上記のページからご確認ください。

VBA作成前の準備

ExcelでVBAを使うためにはいくつかの準備が必要です。

具体的には以下です。

上記に関して、以下で説明します。

準備1. ExcelでVBAを使うための事前準備

Excelで、以下の2つの準備をします。

保存ファイルの拡張子変更、Excelの基本設定変更の2つです。

2つともで難しい作業はなく、それぞれ1分もあれば設定変更可能です。

上記に関しては、以下の記事で解説をしています。

もしVBAを使うための準備段階に不安がある人は上記をご覧ください。

この内容は以下の動画で紹介しています。

入門エクセルマクロの使い方｜マクロ作成から実行までを徹底解説

文字や画像だけで分かりづらい人は上記の動画をご覧ください。

それでは、以下でプログラムについて詳細を説明します。

VBAのプログラムソース解説

今回紹介するプログラムの概要は以下です。

それでは、以下でプログラムを詳しく説明していきます。

プログラム0｜変数宣言の指定

「Option Explicit」とは、変数宣言を強制するためのものです。

これを入れておくと、変数を定義していない場合、エラーが出ます。

つまり、「Option Explicit」を入力しておくことで、たとえば「Dim i」をあらかじめ入力しないと、「i」という変数を使えません。

もし「Option Explicit」を入力しているのに、「Dim i」を書かずに「i = 1」と書くと、エラーメッセージが表示されます。

実は、この機能はあくまでオプションです。「Option Explicit」を入力しなくても、プログラムは動きます。

しかし、これを入れておくことで、変数の誤記によるエラーを防止することができます。

結果的に、プログラム作成速度が上がるので、「Option Explicit」を入力することを習慣化することをオススメします。

プログラム1｜プログラム開始

「Sub CalculateData_Quarter()」のプログラムを開始することを意味します。

VBAではプロシージャという単位でプログラムを呼び出します。

プロシージャの構文は下記となっています。

「Sub」で始まり「End Sub」で終わります。

「Sub XXXX」の「XXXX」の部分がプロシージャ名です。

このプロシージャ名はあらゆる文字（アルファベット、ひらがな、漢字、数字など）が使用可能です。

ただし、プロシージャ名の先頭は数字を入れるとエラーとなります。

あとで見たときに、「何のプログラムだったのか？」とならないようにするためです。

なお、「()」の中には何も記入されていません。これは引数なしという意味です。

初心者の内は、引数ということが分からなくてもVBAプログラムを書くことは可能です。

興味があれば、「VBA 引数」で検索して調べてみてください。

プログラム2｜変数設定

変数を設定します。

i,j,k,xをLong(整数)型で定義します。エクセルのデータを1つずつ処理するときに使用します。

torihiki,quarterはString(文字列)型で定義します。取引先名称や四半期情報を取得するときに使用します。

goukei, quarter_goukeiはDouble型で定義します。金額を合計するときに使用します。

kaishi, owari, hidukeはDate型で定義します。データを日付条件で絞り込むときに使用します。

month, yearはLong(整数)型で定義します。四半期ごとの年月情報を取得するときに使用します。

プログラム3｜シート設定

「Data」をws0、「Q別データ」をws4として設定します。

プログラム4｜最終行を取得

cmax0は「Data」シートのA列の最終行、cmax4は「Q別データ」シートのA列の最終行を取得します。

cmax0=317, cmax4=11です。実際にプログラムを検証すると以下のとおりです。

以降のプログラムで、cmax0とcmax4を使って各行を処理していきます。

プログラム5｜四半期情報を取得

ForNext文で、i=4,5,6,・・・,cmax4(11)まで1ずつ加算しながら、「Q別データ」のシートから四半期情報を取得します。

変数yearにはA列の値を、変数quarterにはB列の値をそれぞれ入力します。

今回の事例では、以下のように値を取得します。

ここで取得したyearとquarterを使って処理を行います。

プログラム6｜四半期の期間を取得

ForNext文で、i=3,4,5,6まで1ずつ加算しながら、「Q別データ」シートM列の値を取得します。

M列の開始月からkaishiを取得します。owariはDataAdd関数を使って、kaishiに3ヶ月分加算した日付をowariとします。

これによりデータ集計の期間を設定します。

なお日付によっては、2021年4Qが2022年1月~2022年3月というように、四半期上は2021年でありながら2022年のデータを取得しないといけないこともあります。

このような四半期とデータ取得の年に相違がある場合を考慮して、以下の処理を入れてあります。

上記の処理をいれておかないと、四半期の集計値が想定通りにいかなくなることがあります。

さて実際に、kaishiとowariにどのような値が格納されているかを以下のプログラムで検証してみます。

上記のようになります。

以降のプログラムで、これらのkaishiとowariを使って四半期のデータを計算していきます。

なおFor Next文は以下で事例を交えながら解説しています。

さらに詳しく知りたい方は上記のリンクをご覧ください。

プログラム7｜四半期ごとの合計値をゼロリセット

変数quarter_goukeiは「Q別データ」シートのC列に出力する合計値です。

C列の合計値は、D列~H列の各取引先の金額の合計を出力する変数です。

これを0(数字)として設定します。変数quarter_goukeiは、このタイミングでゼロリセットさせることで、正しい合計値を計算できます。

ゼロリセットするタイミングを間違えると、正しい金額が計算されないので、注意が必要です。

プログラム8｜ws4の取引先を取得

「For j = 0 to 4」で「j = 0,1,2,3,4」とjに1ずつ加算しながら、ForとNextの間の処理を繰り返し実行させます。

プログラム5で使用した「i」やプログラム6で使用した「x」と混同しないように気を付けます。もしここで「i」や「x」を使ってしまうと、正しく処理されません。

また、offset関数についてイメージが付かない人もいるかもしれませんので、以下で要素に分けて説明します。

したがって「torihiki = ws4.Range(“D3”).Offset(0, j).Value」で、offsetを使うことによって「j」の値に応じて、以下のセルの値を取得できます。

セルD3(j=0)、セルE3(j=1)、セルF3(j=2)、セルG3(j=3)、セルH3(j=4)の値を変数torihikiとして取得します。

このように「Offset(行, 列)」とForNextを組み合わせることで、行と列について繰り返し処理を実行できます。

プログラム9｜取引先名称ごとの合計値をゼロリセット

goukeiは「Q別データ」シートのD列~H列の各取引先名称ごとに合計を計算する変数です。

これを0(数字)として設定します。この変数goukeiは、このタイミングでゼロリセットさせることで、正しい合計値を計算できます。

ゼロリセットするタイミングを間違えると、正しい金額が計算されないので、注意が必要です。

プログラム9｜「Data」シートのデータ取得

「Data」シートの2行目からcmax0(317)行目まで処理を行います。

「Data」シートのC列の日付をhidukeとして取得します。

プログラム11｜取引先名称ごとの金額を合計

hiduke(「Data」シートのC列の日付)とkaishi~owariの期間内かどうかを検証します。

たとえばkaishi = 2021/4/1、owari = 2021/7/1のとき、hidukeが2021/4/1~2021/6/30であれば、条件を満たします。

「hiduke < owari」のように、不等号「<」を使うことで、2021/7/1の1日前の値で条件を絞り込むことができます。 合計値は変数goukeiに累算させます。 なおIf文は以下で事例を交えながら解説しています。興味がある人はご覧ください。 [nlink url="https://www.fastclassinfo.com/entry/excel_vba_if"]

プログラム11｜「Q別」シートに取引先名称ごとの合計値を出力

「Q別データ」シートのD4~H11にgoukeiを出力します。

これでQ別かつ取引先名称ごとに表に合計値を埋めます。

プログラム12｜Q別の金額を合計

プログラム11で出力したQ別の取引先名称ごとの取引金額を、「quarter_goukei」として合計します。

プログラム13｜Q別の金額を出力

各取引先名称ごとの金額を合計して、「Q別データ」のC列に出力します。

プログラム14｜プログラム終了

プログラム1と対になるプログラムです。プログラム終了させる記載です。

「End Sub」を読み込むと、プログラムが終了します。

プログラムの解説はここまでです。

Excel VBAについて詳しく理解したいなら

VBAを活用すると、仕事を効率化できる幅を広げることができます。

たとえば私が実際にVBAを活用して効率化してきた作業は以下の記事で紹介しています。

興味がある人は以下の記事もご覧ください。

動画でも解説しています。

エクセルマクロVBAで出来ることを15の事例で紹介｜日常業務をラクにするヒントを見つけよう！

(音声が小さいので、ボリュームを上げてご覧いただければと思います)

VBAの勉強方法

私はプログラミング初心者からVBAを勉強を始めて少しずつレベルアップしていきました。

成長の過程は以下で紹介しています。

私がVBAを習得するまでにやったこと

学習の過程では、意識すべきポイントがあります。

特に独学の場合だと、勉強を優先してしまい、肝心な実践を疎かにしがちです。

私の経験では、実践から逆算した勉強が必要だと考えています。

目指すべきは会社でお金をもらいながら勉強することです。

要はVBAを仕事の一つとして上司に認めてもらうのです。

そうすればわざわざ高いお金を払って勉強をする必要がなくなります。

しかも作業を自動化して、会社やチームに貢献しつつ、自らのスキルアップできます。

そのために必要な考え方を以下で紹介しています。

VBAを作成するときに覚えておきたいコツ

とはいえ、プログラミング初心者でVBAについて知識ゼロの人もいるはずです。

いきなり会社でVBAで使うことさえ、とてつもなくハードルが高く見えてしまうものです。

その場合は、VBAの基本について学ぶ必要があります。

たとえば車の運転も慣れてしまえば、たいしたことではありません。

しかし教習所で運転の基本を学び、免許を取得することで、公道で運転できるようになります。

VBAも同じです。VBAに免許はありませんが、まずは基本を学ばないことには会社で使えるレベルにはなりません。

実際に私もプログラミング初心者のときは、動画を見たり書籍を読んだりして勉強しました。

今はオンラインの教材で無料で学習できるものも多いです。

上記のリンクでは、私の経験から勉強にオススメの教材を紹介しています。

興味がある人はご覧ください。

VBAを自分で書けるようになる

さて、本記事で紹介したマクロを利用すれば、作業の自動化が可能になります。

しかしデメリットもあります。それはカスタムできないことです。

なぜなら、色々な要望が増えるからです。

この動画を見たとき、「もっと○○ができるのでは？」や「ここはなんとかならないのか」と感じる人は少なくないはずです。

例えば、「他の条件を付け加えたい」や「日付毎に条件を変えたい」といった要望が出るかもしれません。

このような要望を満たすには、マクロを勉強して自力でマクロを編集できるようになる必要があります。

もし、自力でマクロを編集できるようになれば、今より仕事の効率はグッと上がります。

実際、私も自力でマクロを書けるようになってからは、仕事の生産性が一気に上がりました。

他の人が30分～1時間かけて行う仕事が、ボタン一つで終わらせることができるようになったのです。

その結果、周囲からの信頼も増し、仕事で高い評価を得られるようになりました。

ただ、要望に応えるようになるためには、マクロを学ぶ必要があります。

まずは無料でマクロを勉強してみる

ウェブや書籍で勉強すれば、マクロを習得できると考えている人は少なくありません。

しかし、仕事で使えるマクロを習得したいなら、仕事で使える部分に特化した教材で学ぶことをお勧めします。

なぜなら、ウェブや書籍には仕事に関係しない部分まで提供していることが多いからです。

例えば、マクロ初心者なのに配列を学ぼうとする人がいます。実は配列なしでも仕事で使えるマクロを書くことは可能です。

しかし、マクロ初心者ほど「全ての知識が必要だ」と考えて、無駄な学習に時間を使ってしまうのです。詳しくは、こちらの記事で紹介しています。

そこで、私がお勧めするのは仕事に直結するマクロ教材です。とくにお勧めするのは、こちらの無料オンライン動画です。

なぜなら、仕事に直結する部分に絞って、エクセルマクロを学ぶことができるからです。

マクロの作り方・考え方から解説しているので、教材をしっかり学べばここで紹介したマクロをゼロから書けるようになります。

マクロ初心者が、仕事に直結したいマクロを学ぶなら、まずはこちらの無料オンライン動画を試すのがいいです。

興味がある人は、まずは無料でエクセルマクロの勉強を始めてみてください。

もっと学びたいと感じたら、さらに深く勉強をしてみることをお勧めします。