上司への相談や面接の場で、「何をどのように伝えたらいいのか」迷う人は多くいます。その中でも、「話がまとまらない」、「なぜか伝わらない」、「自分でも何を話しているのか分からなくなる」などは、典型的な悩みの例だといえます。
こうした問題のほとんどは、「論理的に話がつながっていない」ことが原因です。その結果、聞いた相手から「結局、何が言いたいの?」と質問されたり、「整理してからお願い」と言われたりするのです。
しかし、こういった問題はロジカルに伝える方法を身に付けることで解決できます。このスキルを習得すれば、上司や先輩から「説明がわかりやすい」と一目置かれるようになります。
そこで、論理的な話し方・伝え方を学び、ロジカルなプレゼンテーションができるようになる方法について解説していきます。
目次
論理的な話し方・伝え方(ロジカルプレゼンテーション)とは?必要性や目的
論理的な話し方・伝え方を学べば、自分の考えを相手に分かりやすく伝えることができるようになります。
実際、私も論理的な伝え方を実践するようになってから、上司から「何を伝えたいのか分からない」と聞かれる回数が減りました。
ところで、論理的に話す方法と聞くと、「分かりやすく話したり伝えたりすることだ」と考える人は少なくありません。しかし、論理的な話すことの本来の目的は、分かりやすく話すことではありません。
このことを理解しないままで、ロジカルな話し方・伝え方をいくら学んでも、まったく効果がありません。そこで、まずは論理的な話し方・伝え方の必要性や意味について紹介します。
論理的な話し方・伝え方(ロジカルプレゼンテーション)とは?
ロジカルプレゼンテーションとは、英語で書けばLogical presentationのことです。早い話、順序立ててわかりやすく相手に伝える方法です。
この記事では、論理的な話し方・伝え方とロジカルプレゼンテーションでは同一のものとしてお伝えしていきます。書籍によっては、異なった定義で使われていることがありますが、論理的な話し方もロジカルプレゼンテーションも目的は同じです。そのため、この記事では同じ意味として紹介していきます。
そもそも、なぜ論理的な話し方・伝え方(ロジカルプレゼンテーション)が必要か?
ロジカルプレゼンテーションを学べば、相手にわかりやすく説明したり提案したりできるようになります。しかし、ロジカルプレゼンテーションは、分かりやすく説明したり伝えたりするための手段であり、目的ではありません。
本来の目的は、「あなたが望むように相手に行動をしてもらう」ことにあります。なぜなら、わざわざ時間をとって上司や面接官に提案したり説明したりするのは、そこに何らかの目的があるからです。
たとえば、上司に相談したり面接官と話したりするとき、「上司に資料作成の納期を送らせることを了承してほしい」や「この面接で受かりたい」といった目的があるはずです。
このように、何か説明したり提案したりするときは、「あなたが望む行動を相手にしてもらいたい」という真の狙いがあるのです。
ただ、こういった目的を達成するためには、上司や面接官に「なるほど、この人の言っていることはもっともだ」と思わせる必要があります。もし、分かりづらい説明をしてしまうと、上司や面接官から信頼を得ることができません。その結果、「あなたが望むように相手に行動をしてもらう」ことができなくなってしまいます。
論理的な話し方・伝え方が活きるのはそういった瞬間です。論理的に話すことで相手に理解しやすい説明ができるようになるのです。
論理的な話し方とは順序立てて説明すること
上述のとおり、相手に話をしたり提案したりすることは、相手に理解・行動してもらうことが目的です。そのとき、論理的に伝えることで、自分の提案を理解してもらいやすくなります。
なぜなら、「論理的に伝える」とは順序立てて伝えることだからです。たとえば、車を運転したことがない人に、車の運転方法を伝えることを考えます。
[2] 車のエンジンをかける
[3] サイドブレーキを下げる
[4] ブレーキを押しながら、ギアをPからLやDに変える
[5] ハンドルを握りながら、ブレーキから足を話す
[6] ハンドルを握りながら、アクセルを入れる
といった順番で説明を行うはずです。なぜなら、順番通りに話をしないと、相手の理解が追いつかないからです。当然ですが、理解してもらえなければ行動という結果に結び付きません。つまり、説明がすべて無駄になってしまうのです。
このように、論理的に伝えることで相手はグッと話の内容を理解しやすくなります。
相手の理解度に合わせて話す順番や内容を変える
ただ説明をするとき、気を付けたいことは、相手の知識や理解度によって、話す順番を変える必要があることです。
なぜなら、相手の理解していることまで説明しても効果がないからです。むしろ余計なことまで伝えると、逆効果になることもあります。
たとえば、車の運転において、
[2]車のエンジンをかける
は当たり前の話で、特に説明がなくても問題ありません。逆に説明することで、こちらの話が増えてしまったり、「カギではなくカードキーの車もあるよね」といった疑問を持たれたりしてしまいます。
このように、相手の知識や理解度によっては、これらの話をする必要はありません。むしろ、細かく説明しすぎることでデメリットが生じることもあります。
重要なことは論理的に話すことではなく、相手に理解してもらうことです。そのため、相手の知識や理解度によって、話す順番や内容を変える必要があります。
繰り返しになりますが、忘れてほしくないのは、相手が理解・行動してもらうことが目的です。
論理的な話し方・伝え方ができない人にありがちな問題や特徴
人前で言いたいことを説明したりアピールするのが苦手な人は少なくありません。そして、苦手意識をもっている人ほど「緊張しないようにはどうすればいいのか」や「コミュニケーション能力が低いせいかもしれない」と悩みがちです。
しかし、うまく伝えることができない理由は単純です。「相手に何をしてほしいのか」が決まっていないからです。もっと言えば、自分自身が「どうしたいのか?」や「会社全体やチーム全体がどうなればいいのか?」を理解していないのです。
たとえば、特別な理由がない限り、行き先が決まっていないまま電車やバスに乗車する人はいないはずです。ただ話をするとなると、行き先がわからなくなるのです。実際、話をしている中で、「そもそも何を伝えようとしているのか」と話をしている本人が分からなくなるときがあります。これは、目的があやふやなために話の途中で迷子になってしまっているのです。
このように、目的を理解していないと話す内容がまとまりません。さらに悪い場合は、自分が迷子になっていることにさえ気づかないのです。
こういったことが起こる原因は、相手に何をしてほしいのかを整理していなからなのです。その結果、「・・・で、何をしてほしいの?」や「何が言いたいのか分からない」といった返答が返ってくるのです。
論理的ではない話に共通する特徴
ただ、相手に何をしてほしいのかを理解できていても、それだけでは不十分な場合があります。
実際、論理的に話をしているかどうかは話を聞けばすぐに分かります。とくにつながりが考えられていない話には、共通する問題や特徴があります。
たとえば、「論理が破綻している」「伝える順番が違う」「余計なことを話す」「結論がない」といった特徴は、話が分かりづらい人によく見られる特徴です。
論理的でない話を聞くと、あなたの意図を相手に理解してもらえないだけでなく、あなたが仕事ができない人という印象を与えてしまいます。
こちらの記事で、論理的な文章が書けない人の特徴について解説しています。話し方と文章の書き方で違いがあるように見えます。しかし、話すことも書くことも根本の部分で似ているため参考になるはずです。ぜひ合わせて読んでみてください。
論理的に話せない人は他人や周囲のせいにしがち
「話がまとまらない」、「なぜか伝わらない」、「自分でも何を話しているのか分からなくなる」といった反応をされると、自分は「ダメだな」と思いがちです。こういったとき、「伝え方が悪かったから、次はもっといい資料を作ろう」と反省する人がいます。
しかし、論理的に話す方法を理解していないと、反省しても同じミスを繰り返します。そして、ミスが続くと他人や環境のせいにしてしまいたくなります。
なぜなら、どれだけ論理的に話すことができる人でも説明や提案を簡単に通せるものではないからです。
たとえば、「新規設備を導入したほうがいい」と提案する場合、必ず聞かれるのは、「誰の」「どのような仕事が」「どのくらい」改善されるのかといったプラス面です。
さらに、設備導入に伴い、「いくらかかるのか?」「どのくらいの期間でプラスに転じるのか?」といったマイナス面も必ず質問されます。
このように、プラス面とマイナス面を考慮し、相手が「なるほど、それは効果がありそうだ」と思わせるような説明をする必要があるのです。そのため、提案や説明というのは決して簡単ではなく、骨の折れる作業です。
したがって、多くの人が提案を考える途中で面倒臭くなってしまいます。その結果、「上司は話を聞かない」や「開発部門がいい商品を作らないせいで、こんなことになる」と感じてしまいます。
しかし、他人や環境のせいにしてもあまりいい結果にはなりません。その前に自分自身の伝え方・話し方を改善してみる必要があります。もちろん、パワハラであれば話は別です。
まずは、「自分が望むことは何か?」を明確にし、論理的に話したり伝えたりする方法を試してみましょう。以下で、具体的な方法について解説していきます。
論理的な話し方・伝え方の5ステップ
ここまで述べてきたように、論理的に伝えることができない人は、「話がわかりづらい」、「本人さえ何をしてほしいのか分かっていない」といった問題が起こりがちです。
もちろん、こういった問題は意識すれば解消できます。ただ、論理的に話す人が「どのようにして話す内容を決めているのか?」を学べば、より効率的に、理解しやすい話を作れるようになります。
そこで以下に、ロジカルに話を作ることができる人が実践している正しい方法を順序立てて解説します。その順番は以下です。
ステップ2|話す構成を作る(ストーリーボードを作る)
ステップ3|構成ごとに話す内容・論拠を検証する
ステップ4|全体の流れを見直す
ステップ5|相手の反応を見ながら、修正する
なお、ここでは実際に私がプロジェクトの遅延を提案したときの話を例にして説明します。
ステップ1|目的を決める
論理的で理解しやすい話をする人の多くは、人に説明する前に「なぜ、この話をしようとしているのか?」や「この話をしてどうなりたいのか?」を自問自答しています。話を聞いた相手に何をしてほしいかを決めているのです。
たとえば、「この話の結論は○○である」「上司に△△、同僚に□□をしてもらいたい」といったことを、頭にイメージしていたりメモしていたりします。
このとき、「話の結論」を決めることが重要なのは言うまでもありませんが、「誰に」と「いつまでに」を決めることも重要です。
実際、私がプロジェクトの延期を提案したときは、以下のように考えました。
目的 | 当初予定していた納期を半年延期させる |
やってほしいこと | 他部門への部長への延期の連絡をしてもらう |
話をする相手 | 部長 |
このように「誰に」、「何を」、「どうしてほしい」を明確にしておくことで、この提案で目指すべきことが明確になります。
重要なのは、決定権をもつ人を動かすことです。このとき、決定権のない人にいくら提案をしても効果はありません。
ステップ2|話す構成を作る(ストーリーボードを作る)
次に構成を決めます。構成とは、話す順番のことです。このとき、ステップ1で設定した目的に向かって、ストーリーボードを作っていきます。事前に構成を練っておくことで、余計な内容を書いて結論がズレてしまったり、話の順番がおかしくなったりするのを防ぎます。
また、構成を事前に作成しておくことで、スムーズな流れの話を作れます。あらかじめ話すポイントを決めておくので、話の前後でミスマッチが起こりにくくなるのです。
論理的に話せる人ほど、構成を重要視しています。たとえば、構成としては以下の項目を参考にするといいでしょう。
目的|当初予定していた納期を半年延期させる
やってほしいこと|他部門への部長への延期の連絡をしてもらう
話をする相手|部長
以下は、ステップ2で考える項目です
問題 | これまでの納期だと取引先に提出できない |
解決 | 予定していた納期を延期させる |
理由 | さらに重大な課題が見つかり、そちらにリソースを使いたいから |
説明 | 1|これを遅らせることによる損失 2|生産設備の都合上、他の設備で埋め合わせすることができない 3|遅らせたときの被害額と今の重大な課題を解決できなかったときの被害額 |
例示 | これまで、他の事例でも相談して遅らせたことがある |
結論 | 当初予定していた納期を半年延期させる |
このとき、一つ一つ詳しくを考えるより、全体の流れを大切にします。なぜなら、一つずつじっくり話を考えていると、時間がどんどん過ぎていってしまうからです。
たとえば、出版社では、文章の作成と校正を分けています。それは、「文章作成」と「校正」を同時にやると時間がかかるからです。
内容や根拠が不十分に思えても問題ありません。後で必ず修正が入るので、それくらいの気持ちでササッと肉付けをしていきます。
ステップ3|構成ごとに話す内容・論拠を検証する
構成まで決まったら、それぞれの構成を肉付けしていきます。そのとき重要になるのは、話す内容と論拠です。なぜなら、事実に基づいて話をしないと誤った判断をしてしまうからです。たとえば、以下の項目に肉付けするとします。
項目 | ステップ2で考えたこと | ステップ3で深堀するときの自分への質問 | 深堀した結果 |
問題 | これまでの納期だと取引先に資料を提出できない | 取引先への資料は部分的にでも進めることはできないか? | 資料だけは作成できる |
解決 | 予定していた納期を延期させる | どれくらい延期させる? | 次の取引先との更新時 |
理由 | さらに重大な課題が見つかり、そちらにリソースを使いたいから | 本当に重大な課題なのか? 本当にリソースを配分することはできないか? |
以下の説明、例示で答えを探す |
説明 | 1|これを遅らせることによる損失 2|生産設備の都合上、他の設備で埋め合わせすることができない 3|遅らせたときの被害額と今の重大な課題を解決できなかったときの被害額 |
いくら? 他の設備は本当に使えないのか? 両方の被害額はいくらか?どちらが大きいか? |
1|○億 2|要調査 3|○億と△億 |
例示 | これまで、他の事例でも相談して遅らせたことがある | いくら? | 昔の案件があるか先輩に聞いてみる。被害額も聞く |
結論 | 当初予定していた納期を半年延期させる | 全体の流れはこの結論を導くようになっているか? | 読み直す |
このとき、さらに数字や事例を集めて説得力をあげます。なぜなら、上司はさらに上の上司への説明が必要になるからです。
過去の事例は、いい参考になるので先輩や上司に聞いてみると進みが早くなります。
ステップ4|全体の流れを見直す
ここまでくると、「何をどのような順番で伝えるか」が決まります。次は、一度全体を見直しますそのとき、全体を通して「誰に」「何を」が明確になっていることを確認します。見直すと、余計な情報が入っていたり、つながりが不十分な部分が見えてきたりします。
「スムーズに読めるか?」「問題→解決→理由→説明→例示→結論」という流れになっているかを確認します。
たとえば、解決が一番最後に来ていたり、問題と解決が対になっていなかったりする場合には、話の流れが分かるように順番を見直します。
また、書いている内容が、「誰に」から外れていたり、必要ないことを書いていたりする場合には、それを省きます。
このとき、例示に数字や他者の意見があると説得力が増します。必要であれば、手書きのメモでも良いので、作成しておきます。より伝わる方法があれば採用するのです。ただ、過剰に時間をかけて作り込む必要はありません。
このように、文章完成前に、構造と中身を見直して修正します。できれば、この時点で一度信頼できる人に確認してもらうといいでしょう。
ステップ5|相手の反応を見ながら、修正する
ステップ4までで、話の内容は決まりました。ここからは実際に提案をしたい相手に提案をしてみます。なぜなら、あなたの提案を聞いて、行動するかしないかを決めるのは、相手次第だからです。
そのため、相手の疑問に答えたり説得力が不足している部分を聞き出したりして、さらに良質な提案になるようにブラッシュアップをします。
たとえば、あなたが家電商品を購入することを考えます。予算より高い価格を提示されたら、店員の人に質問したり値段交渉をするはずです。そして、あなたの疑問や求める価格をクリアしないと、家電を買わないでしょう。
これは、あなたが意見を伝える場合も同じです。実際、自分の中でどれだけ「良い提案だ」と思ったとしても、相手に理解し行動してもらうのは、簡単ではありません。
そのため、相手が行動してくれるまで、粘り強く提案を修正していく必要があります。足りない部分を補足したり、データを追加したりして、改善をする必要があるのです。
ここまで紹介した5つのステップで論理的な文章が書けるようになります。まとめると以下です。
ステップ2|話す構成を作る(ストーリーボードを作る)
ステップ3|構成ごとに話す内容・論拠を検証する
ステップ4|全体の流れを見直す
ステップ5|相手の反応を見ながら、修正する
ぜひ実践してみてください。
論理的に伝えるためのコツ
上記の手順に従って、話す内容を整理すれば論理的に伝えることは難しいことではありません。ただし、さらに分かりやすく話せるようになるにはトレーニングが必要です。なぜなら、論理的な話し方・伝え方はすぐに身につくものではないからです。
例えば、スポーツで上手にプレーできるようになるには正しいやり方を学び、体が自然と動くようになるまでトレーニングを積みます。その型を体が覚えるまで、繰り返し練習する必要があります。
しかし、どのような練習をすればいいのか迷う人は少なくありません。そこで論理的に伝えるコツやトレーニング方法を紹介します。
項目 | やること | コツ、問題解決手法 |
ステップ1|目的を決める | なぜ伝える必要があるのかを明確にする | なぜなぜ分析 |
相手の本当の悩みを見つける | URO解決の6ステップ | |
ステップ2|話す構成を作る(ストーリーボードを作る) | 伝える順番をストーリーにする | AIDAの法則 |
ステップ3|構成ごとに話す内容・論拠を考える | 数値化して定量的に話す | フェルミ推定 |
分かりやすくシンプルに伝える | PREP | |
ステップ4|全体を見直す | 短くまとめることができるか? | エレベータートーク |
ステップ5|相手の反応を見ながら、修正する | ポジティブに相手の言い分を聞く | アサーション |
詳しい内容は、こちらの記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
論理的思考力(ロジカルシンキング)を高める書籍・方法
ロジカルに伝える方法は、本でも学ぶことができます。おすすめの本はたくさんあるのですが、この記事では3冊を紹介します。
この本は、文章の論理(流れ)を読み解くワザが書かれています。文章作成に限らず、論理的思考力を高めたい方にはオススメです。
論理的に話すには、順序よく伝える必要があります。ただ順序よく伝えるには型を学ぶだけでなく、練習をする必要があります。そして、この書籍は論理の型を学ぶのに最適です。実際、問題と解答が付いているので、自分が間違った箇所が分かります。
逆に、多くの書籍はやり方は書いてありますが、練習問題が記載されている書籍は多くありません。もしあなたがトレーニングをしたいなら、もってこいの書籍です。
この記事では、論理的に話す前に「目的を決める」ことの重要性をお伝えしてきました。それは、こちらの書籍でも同じことを伝えています。
特に、「問題発見が重要である」というのは非常に大切な考え方です。なぜなら、問題発見で解決したい課題を間違えたら解決する意味がないからです。
たとえば、「CDをどうやって売るか?」という問題解決をしようとする場合、これは、課題の設定を誤っているといえます。それは、Youtubeなどのメディアの存在がありCDは売れないからです。
つまり、CDを売るという目的が間違っているのです。この本は、そんな目的設定(この書籍ではイシュー(課題)と呼びます)の大切さを詳しく解説しています。
ロジカルに伝えたり話したりするには、この記事で紹介されている知識以外にもたくさんのノウハウがあります。
たとえば、実際に会議でプレゼンテーションをする場合は、この記事で書かれていること以外に「資料の見せ方」も重要になってきます。
そのとき、この書籍を読めば「論理的に伝えるとは何か?」から「資料を上手に見せる」まで学ぶことができます。
論理的に伝える方法を知っている人ほど、感情の重要性を知っている
ここまで、論理的に話したり伝えたりする方法をお伝えしてきました。しかし、実は論理的である人ほど、感情的な部分を大切しています。なぜなら、多くの人は感情で決めて行動をするからです。
たとえば、家電を購入するとき、価格や機能が重要な要素です。しかし、「店員の印象が悪かったから買わない」という人は少なくありません。経済的にも機能的にも良いものだと分かっていても、店員の印象が悪かっただけで買わないのは論理的には違和感があります。
このとき購入に至らない理由は、「この人から買いたくないから」という感情的な理由によるものです。つまり、お金や機能といったメリットを差し引いても、「イヤだ」と思う気持ちには勝てないのです。
つまり、どれだけ論理的に説明したところで、最終的には感情的に決まってしまいます。これは頭に入れておくといいでしょう。
ただ、逆に言えば感情を活用することもできます。
論理的な説明だけがすべてではない
感情で決めるということは、相手の感情が動く部分を押さえればいいということです。なぜなら、感情を揺さぶる部分が分かれば相手は行動してくれるからです。
例えば、私の上司は「本社部門が了承しているかどうか」を重要視する人でした。そこで、上司に提案をする前に、本社部門の人に了承をもらうようにしていました。その結果、スムーズに提案を通すことができていたのです。
ただ、当然ですが、粗末なプランをしたり会社全体の利益にならない提案をしたりするのは話が違います。あくまで、会社全体の利益になることをスピーディに提案を進めていくために感情を利用するのです。
このように、論理的な話し方・伝え方は目的達成のための手段です。そのため、まずは「何が目的か?」や「相手にどのような行動をしてもらいたいか?」を考えることが大切です。
そして、目的を達成するために、わかりやすく説明したり相手の感情を上手に活用したりするのが重要です。