大企業ほど社内評論家としてふるまう人が多いです。特に入社して数十年経つと、助言やアドバイスという名目で様々な意見を言ってきます。
一方で自分の仕事になると、言い訳を連発します。このような人に共通しているのは、周囲からの評判が高くないことです。
実際、私は大企業に勤務していましたが、評論家の評判が立っているほど厄介者扱いを受けていました。
本人は正しいことを主張しているつもりかもしれませんが、たいていの場合は誰も聞いていません。
しかし大企業には評論家が多いため、その環境に慣れてしまうと知らず知らずの内に自らも評論家になってしまいます。
そこで、企業で社内評論家になってしまう3つの理由と成長して評価をもらえる会社員になるための方法を紹介していきます。
目次
大企業ほど自ら提案しない社内評論家(老害)が多い3つの理由
私は企業にはベンチャーと大企業に、それ以外にも研究機関に在籍していた経験があります。
この経験から言えば、ベンチャーで勤務する人や研究機関で働く人の多くは、自発的に提案し行動します。
なぜならベンチャー企業や研究機関では、お金以上に仕事の楽しさや夢を目指す人が多いからです。
一方で大企業ほど自ら提案する人は少ないです。しかし、大企業でベンチャーや研究機関で働いている人に比べて多くの給料をもらっている場合が多いです。
大企業の社員の中には、自ら提案しないだけでなく人の提案に何かと物申す社内評論家(老害)が多いです。
実際、相手の意見を評論するだけで行動しない老害社員はどこの大企業にも少なからずいるものです。
しかし、なぜ大企業には相手の意見を評論ばかりする老害社員が増えるのでしょうか。それは以下の理由があるからです。
理由2|周囲から提案を批判されるのが怖い
理由3|相手に意見することで自己満足したい
一つずつ詳しくお伝えしていきます。
理由1|スキルが低いから
大企業に勤務している人の特徴として、尖がったスキルを持っている人が少ないことです。
なぜなら、大企業では部署の先輩から必要なことを全て教えてもらえるからです。「○○という仕事に必要なことは△△をすればいい」と教えられるのです。
例えば経理の仕事であれば、フォーマットが決まっており、そのやり方に従う必要があります。
むしろ手順が決まっており、その通りにやらないといけないことが多いです。
もちろん、これは誰でもできるようになるというメリットはあります。
しかし、よりよい方法を見出し改善する人が出てきにくいというデメリットもあるのです。
これが何を意味しているかというと、自らスキルを学ぶチャンスを失うことです。その結果、スキルが低いままになってしまうのです。
このとき、スキルがあれば話は別です。よりよい方法を見出し改善を提案することが可能です。
実際、私はエクセルマクロを用いてアンケート集計を自動化して何十時間も作業時間を削減したり、社内システムをしてミスを減らしたりしました。
エクセルマクロについてはこちらの記事で解説しています。
しかし、スキルが低いとどうなるのでしょうか。誰かに依頼して仕事をこなすことしかできなくなります。
依頼すればするほど、自分のスキルを高めるチャンスを失っていきます。
スキルのない人は仕事のチャンスをもらえないため、誰からも相手をされなくなる老害社員になってしまうのです。
理由2|周囲から提案を批判されるのが怖いから
社内評論家になってしまう理由の一つに、大企業で働く人の多くが周囲からの批判を恐れていることがあります。
なぜ人からの批判を恐れてしまうかというと、「自分なら完璧な答えを出せるに違いない」という高いプライドも思っているからです。
そのプライドが、完璧な答えを出せない自分は恥ずかしいという考えにすり替わっているのです。
例えば、大企業に入社する人の多くは高い学歴をもっている人が多いです。高い学歴をもっている人は受験勉強を経験してきており、優秀な人は多いかもしれません。
ただ、受験はデメリットも抱えています。例えば、受験勉強は性質上、誰が見ても完璧な答え(100点の答え)が存在します。
しかし、実際の仕事に答えはありません。もし答えがあるとすれば、クライアントと自社のリソースを考慮して落としどころを見つけることです。
ただ、その落としどころには決まった形はありません。
相手と自分との協議次第でいかようにもなりえます。つまり、誰が見ても完璧な答えがないのです。
実際、私が大企業に勤務していたとき、一流と言われる大学を卒業している人がいました。
その人たちに多いのが、上司やクライアントの要求に対する完璧な回答を作ろうとすることでした。その結果、資料作成に多くの時間がかかっていたのです。
この時間をかける行為は、完璧な答えを出し100点を取りたいことを示しています。
少し視点を変えると、完璧な資料を作ることで周囲の批判から逃れようとしていると言えるのです。
ただ、実際の仕事に答えはありません。そのため、周囲の批判は必ずつきまといます。しかし、社内評論家になる人ほど完璧な答えを求めます。
アドバイスとして些細なミスを指摘する人は、その人自身が完璧な答えを求めていることの現れなのです。
当然ですが、完璧でないと行動できない人は行動そのものが遅くなるので、評価をもらえなくなります。そして、社内評論家になっていくのです。
理由3|相手に意見することで自己満足したいから
スキルが低かったり、周囲からの批判を恐れたりすると周囲からの評価が上がりません。
それでは、その低い評価をどのようにして埋め合わせるのでしょうか。それは、人に意見することで自己満足し、その穴を埋めようとするのです。
例えば、恋人と別れた寂しさですぐに新しい恋人を作ろうとする人がいます。
そして、新しい恋人を運命の人と思い込んでしまうのです。しかし、時間が経つと熱が冷めてきます。
元恋人と別れた寂しさを新しい恋人で埋め合わせをしていただけだからです。これは、社内評論家にも同じことが言えます。
周囲からの評価を得られないために、自分より知識やスキルが劣っている人にアドバイスをして満足感を得たいのです。
実際、社内評論家は新入社員やNOと言えない社員に声をかけたがります。
また、本当に評価をもらっている人は周囲に不要なアドバイスをしている時間さえないのが現実です。
実際、私が一緒に働いていた海外チームはこちらが求めていなければ、ほとんどアドバイスをしてきませんでした。
むしろ私がアドバイスを求めても、彼らが些細な質問と判断したら、返信は来ませんでした。
仕事で評価されている人は仕事の本質を見抜いて行動するため、無駄な行動はほとんどありません。
このように、社内評論家ほど自分より知識やスキルが劣っている人にアドバイスをして満足感を得ようとするのです。
大企業でも並外れた知識と経験があれば活躍することができる
ここまでの話を聞くと、大企業で勤務することがデメリットがあるように思うかもしれませんん。
しかし、必ずしもそうとは限りません。むしろ、大企業で活躍することはそこまで難しいことではありません。
なぜなら、旧態化した大企業ほど老害が多いからです。老害が多いからこそ確かな実力をもった人が評価をもらえるのです。
例えば、私の先輩社員は海外でポスドクとして研究をした経歴を持っていました。その人は会社の中で、研究開発担当として新商品を提案しました。
その後、セールスマーケティング部門に異動し、自ら研究開発した商品の販売にまで携わったのです。
海外でのポスドク経験で鍛えた英語力と研究開発で学んできた商品知識というスキルを武器に海外顧客相手に新商品でシェアを広げていったのです。
実際、その人は、海外駐在し年収も1000万を超えるまでに至りました
はっきり言って、このような人は上場企業でも数万人いる社員の1,2パーセントしかいません。
このように並外れた知識と行動力を持ち、自ら提案できる人であれば、大企業であっても十分に活躍することができるのです。
もちろん、社内評論家ではこのような芸当はできません。
私はこのような人と一緒に働くことができたからこそ、今の自分があると思っています。
本当に評価されるのは自ら提案する人
私の経験から言えば、大企業であってもベンチャーであっても評価される人は自ら提案し、行動できる人です。
これは大企業やベンチャー以外でも同じです。実際、私は大学の研究機関に在籍していたこともありますが、やはり自ら提案し行動できる人が評価され出世していきました。
もちろん、研究機関の場合、昇進は運の要素が強いため、提案し行動できる人全員が上手くいくわけではありませんでした。
なお研究機関の場合、そもそも教授のポストに空きがないと昇進できません。
さて大企業であってもベンチャーであっても、なぜ評価される人は自ら提案し行動できる人なのでしょうか。
チームや会社が求めるのは、利益をもたらす人
自ら提案し行動できる人が評価される理由はシンプルです。
会社は営利目的で設立されており、自ら提案し新しい利益をもたらす人がいないと会社の存続ができないからです。
自ら提案し新しい利益をもたらす人を評価することで、すぐに辞めてしまうことを防ぐのです。
例えば、営業部門のように売上が数値として出るため、利益や売上をもたらす人が評価されるのは理解しやすいはずです。
実際、私が勤務していた会社には利益をもたらす活動をした人が社内表彰される仕組みがありました。
一流ホテルを一日貸し切って海外社員も日本に呼んで会社全体で表彰をしていたのです。このように、会社はよい変化をもたらす人を求めているのです。
ギバー(Giver)ほど評価され、高い収入を得る
ところで、年収がもっとも高いのはギバーと呼ばれる相手に与える人であり、テイカーと呼ばれる相手から奪う人は年収がギバーほど高くないというデータが報告されています。
私は、このデータは会社組織でも同じだと考えています。具体的には、自ら提案し会社に貢献する人(ギバー)ほど評価され年収をあげるのです。
一方で、人に無駄なアドバイスをして混乱させる人(テイカー)ほど会社で評価が得られず年収が上がらないのです。
実際、ギバーほど自らスキルを学び、チームや会社全体を良くするための提案をします。
ギバーは周囲から信頼を得て、さらに難しい仕事をもらいチャレンジしていくのです。
ただ気を付けたいのは、ただ提案するだけではギバーにはなれないことです。
というのも、年収が最も高いのはギバーですが、年収がもっとも低いのもギバーというデータがあるからです。
例えば、提案しても他者に振りまわせれている社員がいます。彼らは根はギバーです。
しかし、会社全体の利益を考えることができていないので、無駄に他者に振り回せれてしまうのです。
実際、私も仕事の自動化をするスキルを使って作業を効率化していきました。
しかし、周囲からスキルを使ってほしいという要望を断り切れず、些細な自動化をしてしまったことがあります。
結局、そこまで大きな改善効果は得られず、自動化システム作成にかけた時間ほど効果はありませんでした。
このように、ギバーほど自らスキルを学び、チームや会社全体を良くするための提案をします。
ただし、あくまでチームや会社全体を良くするための提案をすることが大切です。
断る勇気がないと、会社ではなく特定の個人を満足させるための提案になってしまうのです。
ギバーについては、以下の書籍で詳しく記載してあります。ぜひ読んでみてください。
スキルを磨き成長できる環境を手に入れよう
私は大企業やベンチャーで働いてきました。また、大学の研究機関に在籍した経験もあります。
その経験を通じて言えるのは、スキルがその人の評価を決めるということです。
特に価値が高いにも関わらず他の人が持ち合わせていないスキルほど評価されやすいです。
例えば私が研究機関に在籍していたときは、30人弱の人がいました。当時、私は遺伝子の研究をしたため、遺伝子操作スキルを磨いていました。
短時間で大量の遺伝子操作を行うスキルを高めようとしたのです。
しかし、このスキルはその研究機関のほとんどの人がもっているスキルでした。
一方で、その研究機関では電子顕微鏡を操作するスキルを持っている人がいました。そして、そのスキルは他の誰も持っていませんでした。
結果として、その研究機関で評価をされていたのは、電子顕微鏡のスキルをもっていた人でした。
これは他の人が持っていないスキルほど価値が高いということです。
チームで誰も持っていないスキルを学ぼう
研究機関での経験をもとに一般企業で実践したのは、ニーズがあるのに誰も対処できない分野を見つけることでした。
なぜなら、周囲がもっていないスキルほど価値が高いからです。
このとき注意したいのは、世間的に希少価値が高いスキルではなく、チームや組織レベルで十分ということです。
例えば、英語の仕事があるのに英語を使える人が少ないという環境にいるのであれば、英語力を高めることは良い選択と言えます。
このとき、英語は世間的に見れば出来る人が数多くいるため、英語を上達させる必要はないと考える人は少なくありません。
しかし、チーム内に英語力が高い人がいないなら、英語ができることで十分に活躍できます。
しかも、TOEIC900というハイスコアである必要はありません。
とにかくチームや組織の中で秀でているかどうかで問題ないのです。TOEIC700でも周囲から貢献できるなら、それでいいのです。
さて、私の場合はエクセルマクロというスキルを習得しチームに貢献しました。エクセルマクロについては以下の記事で詳しく解説しています。
それは、チーム内の誰もがエクセル関数さえ使えない人ばかりだったからです。
エクセル関数も使えない状態のチームに、エクセルマクロのような関数より強力なスキルを使って仕事をすれば、確実に貢献できると考えたのです。
実際、私はエクセルマクロを活用し仕事を改善しました。その結果、上司と関係を構築し、仕事で評価をもらったり難しいチャレンジをさせてもたえるようになりました。
社内評論家にならなくても、スキルを磨くことで成長できる環境を手に入れることができたのです。
これが私が希少価値の高い仕事をお勧めする理由です。
このように、ただ世間的に必要と言われるスキルではなく、周囲の環境を観察し、希少性の高いスキルを学ぶのが大企業に限らず活躍する方法なのです。