新しい仕事を見つけるとき、転職サイトの募集要項に「最低限のパソコンスキルが必要」と記載されていることがあります。
このとき、たいていは「エクセルやワードを仕事で使えるレベル」と記載されています。
しかし、仕事で使えるレベルといってもイマイチ分からない人は少なくありません。
そこで、転職や就職で求められるパソコンスキルから、パソコンスキルを向上させる方法まで具体的に紹介していきます。
目次
仕事で求められるパソコンスキル(ExcelやWordなど)はどの程度か? 基準や基本操作
職務経歴書や履歴書を書くときに、エクセルやワードといったパソコンスキルについて、何を書けばいいのか迷う人は少なくありません。
なぜなら、エクセルやワードのようなパソコンスキルのレベル分けが難しいからです。
レベル分けが分からないので、職務経歴書や履歴書にパソコンスキルについてどのように記載すればいいのかわからないのです。
そこで、エクセル、ワード、パワポ、アウトルックメールといった仕事でよく使うパソコンスキルについて、レベルを紹介していきます。
エクセル(Excel)のレベル
エクセル(Excel)とは、世界でもっとも普及している表計算ソフトです。
複雑な計算を行い膨大な量のデータ集計や分析したり、グラフ化による見える化をしたりするときに使われます。
エクセルのレベルは以下のようにカテゴリー分類できます。
レベル | 項目 |
初級 |
・表の作成 ・足し算、引き算、かけ算、割り算 ・印刷 ・報告書のフォーマット作成 ・簡単なエクセル関数(sum関数、average関数) |
中級~上級 | ・レベルの高いエクセル関数(VLOOKUP関数) ・ピボットテーブル ・エクセルマクロ |
エクセルマクロについては、以下の記事で紹介しています。
マクロを習得すれば、数時間分のエクセル仕事を効率化することも可能です。
ワードのレベル
ワード(Word)とは、ビジネス文書・企画書などの作成に使用されるソフトです。
基本的には、文書作成がメインなので、タイピングが速ければ難しさを感じることは少ないでしょう。
レベル | 項目 |
初級 |
・写真を貼る ・表を載せる ・文字を大きくする ・色を変える |
中級~上級 |
・目次を作る ・アウトライン(段落)を作成する ・機密文書を背景い差し込む ・ハガキのサイズでの印刷 |
こちらの記事で、ワードの学習方法や詳しい機能について紹介しています。
アウトルックメールのレベル
アウトルックとは、メールソフトのことです。アウトルックメールでは、以下のことがわかれば、ほとんどメールすることはないでしょう。
・cc/bccの使い分け
・件名に重要な情報を入れる
パワーポイントのレベル
パワーポイントとは、プレゼンテーション用の資料作成ソフトです。
パワポにこだわる人がいますが、見せ方にこだわらないなら、パワポを詳しく学ぶ必要はありません。そのため、必要なレベルも特にありません。
なぜなら、基本的に人に理解してもらうのが目的だからです。見せ方にこだ割る必要はないのです。
例えば、私が会社で勤務していたときはアニメーションを使うことはほとんどありませんでした。
そのため、パワポの機能を学ぶよりもプレゼンのノウハウを学ぶ方が重要です。
例えば、グラフの選び方(棒グラフにするか? 円グラフにするか?)や文字の選び方(後ろからでも見える文字サイズや配色)を知る方が効果的です。
そのため、仕事によりますが、パワポの機能を知ることにあまり意味はありません。
そのため、必要なレベルも特にないのです。
面接官が求めるパソコンスキルとは何か?
パソコンスキルのレベルは上述した通りです。しかし、このレベルを知っていてもあまりメリットはありません。
なぜなら、企業の人事(面接官)がパソコンスキルについて詳しく理解していないからです。
例えば、「エクセルマクロを使えます」と職務経歴書に書いたり面接でアピールしたりするとします。
このとき、面接官がエクセルマクロで何ができるかを知らなければ、「エクセルマクロという効率化ツールを使える」程度にしか考えてくれません。
このように、そもそも面接官側がパソコンスキルのレベルを理解していないと、高いパソコンスキルを使えることをアピールしてもムダになってしまうのです。
求められるパソコンスキルを募集している仕事内容から予測する
それでは、自分のパソコンスキルをどのように伝えればいいのでしょうか。
それは、面接官が求めているパソコンスキルを予測することが大切です。募集している仕事から求められるパソコンスキルをイメージするのです。
なぜなら、面接官は「パソコンスキルを知りたい」ではなく、「あなたが仕事をこなせる技量があるかどうか」を判断したいからです。
例えば、プログラミングの仕事をできる人を募集する場合、プログラムを書けないと仕事をこなすことができません。
また、事務職であればエクセルやワードを使って仕事をした経験があれば、パソコンスキルについては及第点だと判断できるかもしれません。
しかし、事務職の場合、パソコンを使った経験がないと、「この人は仕事できるか怪しい」と判断されてしまう可能性があります。
このように、求人募集中の仕事からどの程度のパソコンスキルを求められるのかを予測できるのです。
ただ、予測するだけでは完璧とはいえません。面接官の期待の上をいくにはもう一つ考えるべきことがあります。
パソコンスキルではなく実績をアピールできるレベルを目指す
面接官が知りたいのはパソコンスキルではなく、あなたが仕事をこなす技量があるかどうかです。
そのため、面接官にパソコンスキルではなく実績をアピールできるレベルを目指すことをおすすめします。
なぜなら、実績を話せばスキルについて語る必要がないからです。
たとえば、「エクセルマクロやピボットテーブルを使えます」と言うAさんと「マクロを使って年間100時間以上の業務効率化をしてきました」と話すBさんがいるとします。
どちらが事務仕事をする人として採用したいでしょうか。
多くの人はBさんと答えるでしょう。それは、数字による実績があるからです。
また、数字による実績を語ることができるメリットは他にもあります。
それは、パソコンスキルについて詳しくない面接官にもアピールしやすくなることです。
たとえば、数字で実績を示すことができれば、マクロやピボットテーブルを知らない面接官でも興味を持ってくれます。数字はそれほど強力でイメージしやすいのです。
このように、面接官が求めるパソコンスキルとは「あなたが仕事をこなせるかを問う」ものなのです。
そして、実績があれば面接官に興味をもってもらいやすくなるので、実績を伝えることから逆算してパソコンスキルを学ぶことをおすすめします。
転職に有利なパソコンスキルのおすすめ資格や検定(オデッセイなど)
パソコンスキルに自信がない人ほど資格や検定を取ろうと考えます。しかし、そもそもどのようなパソコンスキルの検定があるのでしょうか。
ここでは、代表的なパソコンスキルの検定について紹介します。
パソコンスキル資格1|MOS(Microsoft Office Specialist )
MOSとは、Microsoft Office Specialistの略称で、マイクロソフトが認定する国際資格のことで、オフィスソフトが使えることを認定する資格です。
オフィスソフトとは、エクセル、ワード、パワポといったマイクロソフト社が所有するアプリのことです。
MOSは、wikipediaによると
Microsoft Office(以下、Office)の基本操作や応用操作ができることを証明する資格。
Officeの各バージョンや各アプリケーションごとに試験科目が分かれている。
通常使う上で最低限必要な操作方法は「スペシャリストレベル」。
スペシャリストレベルの基礎的な内容に加え、より応用的な操作ができる「エキスパートレベル」の2段階に分かれている(Word・Excel以外はスペシャリストレベルのみ)。(wikipediaより引用。一部改編)
MOSの資格があれば、エクセルやワードを使えることを認定してもらうことが可能です。
累計400万人以上が受験しており、1000点満点で550~850点を取れば合格です。
受験費用や受験時間は以下のとおりです。
試験項目 | レベル | 費用 | 受験時間 |
Word 2016 | スペシャリスト(一般) | 約8500~10500円 | 50分 |
Excel 2016 | スペシャリスト(一般) | 約8500~10500円 | 50分 |
PowerPoint 2016 | スペシャリスト(一般) | 約8500~10500円 | 50分 |
Access 2016 | スペシャリスト(一般) | 約8500~10500円 | 50分 |
Outlook 2016 | スペシャリスト(一般) | 約8500~10500円 | 50分 |
Word 2016 | エキスパート(上級) | 約10500~12500円 | 50分 |
Excel 2016 | エキスパート(上級) | 約10500~12500円 | 50分 |
Word:文書作成ソフト
Excel:表計算ソフト
PowerPoint:プレゼンテーションソフト
Access:データべース管理ソフト
Outlook:電子メールメールソフト
PowerPoint、Access、Outlookはスペシャリスト(一般)のみ。
これらの資格があれば就職に有利といわれていますが、100%有利になるとは限りません。
その理由は後述しているので、このまま読み進めていってください。
パソコンスキル資格2|VBAエキスパート
VBAエキスパートは、Microsoft Office ExcelやAccessで利用できるマクロ・VBA(Visual Basic for Applications)のスキルを認定する資格のことです。
VBAエキスパートには4種類の試験があり、エクセル(Excel)とアクセス(Access)が2種類ずつあります。
それぞれ1000点満点で650~800点を取れば合格です。
受験費用や受験時間は以下のとおりです。
試験項目 | レベル | 費用 | 受験時間 |
Excel VBA | ベーシック(基礎) | 約11500~13000円 | 50分 |
Excel VBA | スタンダード(一般) | 約13000~14500円 | 50分 |
Access VBA | ベーシック(基礎) | 約11500~13000円 | 50分 |
Access VBA | スタンダード(一般) | 約13000~14500円 | 60分 |
VBAエキスパートについては、こちらの記事で詳細を紹介しています。
VBAエキスパートもMOSと同様、就職に有利になると考えている人は多いです。
しかし、必ずしもそうとは言えません。その理由は以下で説明します。
資格や検定試験があれば就活や転職に有利か?
資格や検定試験を記載できれば、就活や転職が有利になると考える人がいます。
しかし、資格や検定試験があれば必ず有利になるわけではありません。
理由はいくつかありますが、その一つに、採用する会社の人事担当者のパソコンスキルに関する資格を理解していないことが挙げられます。
例えば、MOSやVBAエキスパートと聞いて、「オフィスソフトの資格ですよね」や「エクセルマクロの資格ですね」と理解できる人はそう多くはありません。
実際に、私もパソコンスキルを高めようと思うまでは、MOSやVBAエキスパートを知りませんでした。
このように、採用側が理解していなければ、資格や検定を受けても効果を発揮しない場合があるのです。
それでは、どうすれば履歴書や職務経歴書でパソコンスキルの高さをアピールできるのでしょうか。
それは実績を書く事です。上述の通り、「○○のスキルを活かし△△時間の削減を行った」と書くのです。
そうすれば、資格や検定を理解していない採用担当も、確実に伝わり理解をしてもらえます。
この必要性については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせて読んでみてください。
就活や転職を目指してパソコンスキルを上げよう
就活や転職を目指してパソコンスキルを習得したいなら、実績を上げることを目指すことを強くお勧めします。
なぜなら、採用する会社の人事担当者のパソコンスキルについて詳しくない可能性が高いからです。
そのため、数値を入れた実績でアピールできるようなパソコンスキルを学ぶのが最も効果的です。
実際、私は業務効率化を100時間以上行ったことで、フリーで仕事をもらうときに「効率化に長けた人」というイメージを与えることができます。
それだけで、相手に強いインパクトを残すことができるのです。
また、数値をいれた実績を手に入れることは、他のメリットもあります。
しっかりしたパソコンスキルがないと入社後に困る
資格や検定では、就職や面接における見た目が良くなります。しかし、実際に入社した後にパソコンを使えない人だとバレてしまっては意味がありません。
採用された後に、「エクセルの資格をもっているのに、エクセルについて仕事で使ったことがない」というのは、実務に支障をきたしかねません。
これを考えても、数値を入れた実績を目指したスキルアップが重要なのです。
パソコンスキルを高めるにはエクセルがお勧め
オフィスソフトでパソコンスキルを高めるなら、エクセルがお勧めです。
なぜなら、仕事で効率化しやすいのはエクセルだからです。例えば、エクセルマクロを学べば数時間の効率化が可能です。
逆にワード、パワポ、アウトルックメールは基本的に文字を入力するだけであり、パソコンスキルをそこまで必要としません。
このように、エクセルがもっとも効率化しやすくパソコンスキルとして分かりやすいです。
エクセルマクロであれば、こちらの無料動画で学ぶことができます。
また、エクセルを正しく操作する方法を実践すれば、それだけで仕事を効率化できる場合があります。
エクセルの正しい操作方法については、こちらで学ぶことが可能です。ぜひ、エクセルからスキルアップすることをお勧めします。