「エクセルVBAを使えたら就職や転職にゼッタイ有利!じゃあまずは資格をとろう!」。あなたはそう思って、この記事を見ているのかもしれません。正直、エクセルVBAの資格があった方が有利という話はよく聞きます。しかし、それは本当なのでしょうか?
じつは、エクセルVBAの資格のメリットもあればデメリットもあります。場合によっては取らなくてもいいことも。
この記事では、一部上場企業や個人指導でエクセルVBAを教えてきた私が、資格の難易度やメリット/デメリットから具体的な勉強方法や合格までをカンタンに分かりやすく紹介します。あなたのキャリアプランの参考になれば、幸いです。
目次
エクセルVBAの資格とは?VBAエキスパートの情報を分かりやすく紹介
エクセルVBAの資格は、VBAエキスパートと呼ばれていて、オデッセイ社が運営している試験に合格することで、取得できます。
それでは、VBAエキスパートについて、詳しく紹介していきましょう。
VBA資格「VBAエキスパート」とは?
VBAエキスパートは、Microsoft Office ExcelやAccessで利用できるマクロ・VBA(Visual Basic for Applications)のスキルを認定する資格のことです。詳しく情報は、以下に紹介します。
VBAエキスパートは4つ|ベーシックとスタンダードが2種類ずつ
VBAエキスパートは以下の4種類があります。エクセルが2種類で、アクセスが2種類あります。
出題される問題は、マクロの初心者レベルのものです。VBE(マクロの操作盤)から実際にエクセルでの作業を自動化するところまでが出題されます。
問題は、マクロの初級~上級です。繰り返しの構文(for next)から配列までが出題されます。OLEと呼ばれる他のアプリ(ワードなど)の操作も出題範囲です。
データベースの基礎からSQLの基礎までが出題範囲です。
SQLの応用からデータベースの操作までが出題範囲です。
VBAエキスパート試験の合格基準、試験時間、受験料など一覧で紹介
試験の概要について紹介します。詳細はオデッセイ社のHPで確認できます。
項目 | 詳細 |
試験問題 | 40問前後 |
出題形式 | 択一、複数選択式、穴埋め式 |
試験方法 | コンピュータ上で実施 |
試験時間 | 50分 |
合格基準 | 650-800点(1000点満点) |
受験料 | 11664円~14580円 |
受験資格 | 年齢、国籍不問。小学生以下は保護者同伴 |
試験日の日程はこちら
試験日は、テストを受ける会場毎に設定されています。毎日、試験をやっている会場もあれば、週に1回の会場もあります。下記のリンクから、試験日を調べることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
http://vbae.odyssey-com.co.jp/exam/location.html
受験料(試験の料金)はどれくらい?
VBAの試験は一回で12000円~15000円の受験料がかかります。もちろんこれは、受験1回の料金です。一度で合格すればいいですが、合格できないと、受験するたびに受験料が必要になります。
また受験料に加えて、参考書代も必要になりますので、受験前に必要な費用を確認することが大切です。
MOSとVBAエキスパートは、何が違うの?|MOSはパソコン資格
MOSとは、Microsoft Office Specialistの略称で、マイクロソフトが認定する国際資格のことで、パソコンが使えることの資格です。wikipediaによると
Microsoft Office(以下、Office)の基本操作や応用操作ができることを証明する資格で、Officeの各バージョンや各アプリケーションごとに試験科目が分かれている。通常使う上で最低限必要な操作方法は「スペシャリストレベル」。スペシャリストレベルの基礎的な内容に加え、より応用的な操作ができる「エキスパートレベル」の2段階に分かれている(Word・Excel以外はスペシャリストレベルのみ)。(wikipediaより引用。一部改変)
カンタンに言うと、MOSはエクセルやワードなどのオフィスソフトが使えることを証明する資格。VBAエキスパートはエクセルなどのVBAが使えることを証明する資格です。VBAエキスパートの方が、難易度が高いです。
VBA資格って初心者でも受かるの?難易度や合格率を理解しよう
VBAエキスパートという資格の難易度と合格するまでに必要な勉強時間について、紹介したいと思います。
VBA資格取得の難易度ってどれくらい?
資格の王道と呼ばれるサイトによると、VBAエキスパートの試験の難易度は以下のとおりです。
Excel VBAベーシック:ややカンタン ★★☆☆☆
Excel VBAスタンダード:フツウ ★★★☆☆
Access VBAベーシック:ややカンタン ★★☆☆☆
Access VBAスタンダード:フツウ ★★★☆☆
参考までに「資格の王道」の難易度を紹介します。
カンタン ★☆☆☆☆:例:運転免許
ややカンタン ★★☆☆☆:例:MOS
フツウ ★★★☆☆:例:英検2級
ややムズカシイ★★★★☆:例:簿記検定1級
ムズカシイ ★★★★★:例:税理士
出典:資格の王道
この情報だけをみると、VBAベーシックはややカンタンで、VBAスタンダードはフツウ、という評価です。
しかし、実際に問題を見てみると、ベーシックとスタンダードの難易度は大きく異なる印象を受けます。というのも、ベーシックの試験問題は、VBAの初級がメイン。一方でスタンダードの試験問題は、VBAの初級~上級までカバーしているからです。上級レベルを理解するには、かなりの努力が必要です。
ただ、合格だけを目指すのであれば、上級レベルを完全に理解する必要はありません。カンタンな問題を拾っていくやり方をとりましょう。
合格率や合格基準は?回答率60-80%で合格!
合格率は、非公開ですが、VBAスタンダードの合格基準は、およそ650-800点(1000点満点中)です。60-80%の問題に回答できれば、合格できると言えます。
合格に必要な勉強時間・勉強量ってどれくらい?
満点合格にフォーカスしなければ、早い人で、VBAエキスパートベーシックは1ヶ月程度。スタンダードは3ヶ月程度あれば、十分に取得できます。
ただし、この期間は、あなたがどれだけパソコンが得意かで決まってきます。たとえば、あなたがITエンジニアで、会社ですでにVBAを使っていたり、エクセル関数もバリバリ活用していれば、数ヶ月もかからずに取得できます。
しかし、一方で、パソコンが苦手で、VBAはおろか、エクセル関数も使えないとなると、数ヶ月で取得するには、かなり努力が必要になるでしょう。ですので、まずはVBAエキスパートで出題される問題を確認しましょう。
試験問題の難易度を感じるには過去問や実力試験が一番!
試験問題の難易度が分かっても、「簡単か?」「ムズカシイか?」は、あなたが試験問題にチャレンジしてみないと分かりません。過去問を見ることはできませんが、実力試験を通じて、どれくらい解答できるかを調べてみることをオススメします。
実力試験をやってみて、あまりにもムズカシイ…と感じるなら、早めに勉強を始めること。たとえ難しいと感じても、うまく勉強すれば、確実に習得できるスキルですので、安心してください。
もし、VBAのサンプル問題から試してみたいならコチラから見れるので、勉強をはじめるまえに必ずみるようにするとよいでしょう。
詳しい資格勉強の方法は、この記事の後半で記載していますので、ぜひ読んでみてください。
なお以降、この記事では、Excel VBAベーシックとExcel VBAスタンダードに絞って紹介していきます。
ExcelVBAの資格(VBEエキスパート)とは|メリットとデメリット
それでは、ExcelマクロVBAの資格を取得する上でのメリットとデメリットを紹介します。
企業は、VBAが業務効率化やシステム開発に貢献できることを知っています。ですので、VBAが使える人は、転職/就職/再就職だけでなく社内でのキャリアアップで、とても有利です。しかし、一方で、VBAのスキルが大切なのであって、資格を重要視しない人もいます。
ここでは、VBAの資格のメリットとデメリットを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
メリット
資格を取ることのメリットを紹介します。
[2] 給与ベースアップ
[3] 業務を効率化できる
[4] VBAを学ぶモチベーションがあがる
一つずつ解説していきます。
[1] 就職・再就職・転職に役立つ
VBAエキスパートの資格を持っていれば、あなたがしっかりとVBAを学び、企業に貢献できる人材であることを客観的に示すことができます。ですので、就職・再就職・転職の時に、面接官にアピールできるポイントになります。
[2] 給与ベースアップ
VBAを使える人材ということを認めてもらえれば、給与アップにつながります。私が以前、勤めていた会社では、資格保有者には、数千円の給与補助がついていました。ただし、これは会社によって異なりますので、しっかりと調べておきましょう。
[3] 業務を効率化できる
VBAを習得すれば、あなたの業務を一気に効率化できます。ですので、資格試験で体系的に知識をつけることで、残業を減らして、あなたのプライベートの時間を作ったり、会社やチームに、より貢献できることができます。
[4] VBAを学ぶモチベーションがあがる
VBAを習得するとき、ネックの一つが、モチベーションの維持です。資格試験を受けることを通じて、モチベーションがあがる人もいます。ですので、資格試験というゴールを設定して、VBAの知識を広げるのも、一つのメリットと言えるでしょう。
デメリット
それでは、資格を取ることのデメリットを紹介します。
[2] 勉強に時間がかかる場合がある
[3] 実務に直結しない
一つずつ解説していきます。
[1] 受験料(試験の料金)の費用がかかる
VBAの試験は一回で12000円~15000円の受験料が必要です。1回で合格すればいいですが、合格できないと、受験するたびに受験料が必要になります。それに加えて、参考書代も必要になります。
[2] 勉強に時間がかかる場合がある
もし必要なら、試験問題を見てほしいのですが、ある程度の知識がないと、まったく分かりません。エクセルの知識があったり、多少でもマクロをかじっている人は、早いですが、そうでない人は時間がかかってしまうでしょう。
[3] 実務に直結しない
試験問題の勉強にフォーカスしていると、いざ業務で使おうと思ったとき、対応ができなくなります。それは、試験問題が選択式の問題が多いからです。
実務は、選択式ではなく、すべて自分で記述していく必要があります。ですので、試験を合格することにフォーカスすると、本来やるべき業務への落とし込みがおろそかになります。
VBAの資格は役に立つ?ほんとうに就職や転職に有利?
ところで「転職したいから、まずは資格を取らなきゃ!」。このように考えていませんか?
これはあまりおススメしません。なぜなら、目的がないままで資格を取ると、お金と時間が投資したのにムダに終わってしまうからです。
たとえば、VBAの資格試験は実務に直接役立つことはありません。そのため、VBAの資格試験に合格しても、必ずマクロが使えるようになるワケではありません。
あなたが、エクセルマクロの仕事を依頼する側として考えてみてください。マクロの資格をもっている人と、実務でマクロを作って年間100時間以上業務効率化してきた人がいるとします。あなたはどちらに仕事を依頼しますか?
私なら、ゼッタイにBさんを選びます。Bさんの方が実績があるからです。たしかに、資格があれば安心できるかもしれません。しかし、資格=本当の力ではありません。。
もし、エクセルマクロを使って実務を改善したいという場合には、早まって資格取得に走らないことを強くオススメします。
ただし、VBAエキスパートという資格は就職や転職市場では、役立つ場合があります。。就職や転職を考えている場合は、もしかすると使えるかもしれません。
たとえば、派遣社員として事務系の仕事を探しているなら、資格取得の効果は大きいでしょう。なぜならVBAが使える事務員はめったにいないので、VBAが使えるほどの人であれば、どの企業でもいつでも即戦力として探しているからです。
しかし、仕事によっては、VBAの資格が不要な場合もあります。そもそもパソコンを使わない仕事や、マネジメントの仕事であれば、VBAの資格があっても役立つとは言えません。
また、転職に有利という話も聞きますが、ぜったいに有利になるとは言えません。
もちろん、あなたがVBAを使えるということで、人事の注意を引くことはできるかもしれません。
しかし、VBAも使えるということで、あなたの実力をアピールしたいのに、「ただのVBAが使える人」という視点で見られると、本来やりたい仕事ではなく、単なる事務作業をやらされる可能性もあります。
あなたのやりたいことや目標にあわせて、VBAの資格が必要かどうかを判断することをオススメします。
資格があれば、少しトクをする場合があるかもしれませんが、実際には、資格がゼッタイに必要ということはありません。
資格の勉強に時間を使うよりも、実際にVBAを使った仕組み作りの経験に時間を使う方が、賢明です。
エクセルVBAの資格の勉強方法|本・参考書・問題集から通信講座まで
VBAエキスパートの試験の勉強法をまとめました。以下に詳細を紹介します。あなたの状況に合わせて、選択することをオススメします。
しっかり試験対策をするなら|オススメのスクール・通信講座・学校はコレ
ISAのスクールコースは、個別指導というのが、魅力です。また、合格するまで、サポートを付けることもできます。コースも豊富で、48000円~です。ただし、住まいの近くにISAのスクールがない場合は、ムズカシイかもしれません。
教室でのPC少人数指導から選べます。また、講義がインターネットで配信されるので、講義に欠席しても受講できます。Excel VBAエキスパートベーシックコースは全4回36000円で、Excel VBAエキスパートスタンダードコースは8回72000円です。
パソコンスクールで有名なAVIVAも、VBAエキスパートの資格講座を開催しています。全5回で学習できるプランがあります。
ISAの通信講座です。Excel VBAマスターの内容に加えて、数多くの実務で利用する演習問題を行います。2ヶ月16000円~で多くのプランがあります。
独学で学習するなら|オススメの本・参考書・書籍・テキスト・問題集・サイトはコレ
VBAエキスパートの資格勉強を書籍でやるなら、これがオススメです。
上記の2つは、VBAエキスパートを受験するなら必読です。うれしいことに書籍には、模試がついていますので、これで勉強することができます。ある程度、VBAについて理解している方にはオススメの方法です。勉強は、間違えたところにフセンを貼って、何度も繰り返すとよいでしょう。
またVBAエキスパートの公式サイトで紹介されている模試です。一度は受ける価値があります。価格は1620円です。
サンプル問題を確認する
VBAのサンプル問題はコチラから見れるので、勉強をはじめるまえに必ずみるようにするとよいでしょう。
オススメはウェブの無料教材で、VBAの基本を抑えてから、本で勉強
エクセルマクロVBAの資格勉強を始めるといっても、エクセルマクロVBAをそもそも良く理解してない・・・という場合、まずはイメージを掴むところから始めることをオススメします。こちらの無料動画でエクセルマクロについて、わかりやすく学べます。VBAエキスパートの勉強をスムーズに進めるために、まずはVBAの概要を抑えるといいでしょう。
友人の力をかりる
知り合いにVBAができる人がいると、非常に大きな力になります。分からないことがあれば、質問できることはもちろん、VBAの勉強方法まで学ぶことができます。1対1で学ぶことができれば、学ぶも深くなるので、もし周囲に友人がいるなら、ぜひオススメです。
VBAの資格を取った後の評価や仕事でのやりがい・大変なこと
VBAの資格を取ると、あなたは「VBAができる人」として認定を受けます。もちろんあなたの仕事の内容にもよりますが、いきなりあなたの仕事が変わることはまずありません。たとえVBAの資格を取得しても、すぐにVBAを活用した業務改善の仕事ができることにはならないのが現実です。
ただ、パソコンができる人として、周囲があなたを評価するようになります。ここで大変なのは、パソコンの不具合やセットアップなどを依頼されることです。
知ってのとおり、VBAエキスパートであって、パソコンメカニックではないのですが、周囲の人はプログラミングのスキル=パソコンオタクと思っている人も少なくありません。残念ですが、VBAが何なのかを分かってもらえないので結局、パソコンまわりのサポートをやらされることになります。
しかし、就職・転職・再就職の場合には、システム作成や業務効率化の仕事を任されること仕事をもらえる場合があります。その時は、資格試験で学んだことを活かせるので、思う存分やってくださいね。
転職や就職に必要なパソコンスキルについて知りたいなら
経理や事務職で働きたいけれど、「どれくらいパソコンスキルが必要なの…」という悩みを持っているなら、こちらの記事がオススメです。
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履歴書の資格認定よりも大切なこと
「業務効率化は成果を出してナンボ」
これは私がエクセルVBAを実践してきて感じることです。VBAの資格をとれば、すぐに業務効率化はできるわけではありません。ちなみにVBAをマスターしても、すべての仕事を効率化がすることはできません。
VBAを使うことが目的ではなく、業務効率化の一つのツールとしてVBAがあること。それを理解した上で、VBAを習得する必要があります。そのために、必要であれば、資格を取る。その認識をもてば、もっと資格を活かすことができます。
この記事があなたの未来の選択の一助になれば幸いです。
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