仕事の引継ぎや社外への説明で、フローチャートが役に立つことがあります。
なぜなら、フローチャートがあれば仕事の全体像を見える化できるからです。
ただ、多くの人は自己流でフローチャートを作成しているため他に人に使われないフローチャートになってしまっています。
しかし、フローチャートはコツさえつかめば分かりやすいものを書けるようになります。
そこで、フローチャートを作るときの注意点やコツを紹介します。
目次
分かりやすくフローチャートとわかりにくいフローチャートの違い
分かりやすいフローチャートと分かりにくいフローチャートの違いはシンプルです。
分かりやすいフローチャートは、一目見て「こういう流れですね」と頭に入ってくきます。
しかし、分かりにくいフローチャートは、フローを見ながら頭を使って考える必要があります。
その結果、分かりやすいフローチャートは多くの人に使ってもらえる一方で、わかりにくいフローチャートはほとんど使われないのです。
実際、以下の2つのフローチャートを見比べてみてください。
圧倒的にAが見やすいはずです。
それは、分かりやすいフローチャートを作成するために大切な注意点やコツを守っているからです。
それでは、その注意点やコツについて詳しくお伝えしていきます。
注意点|フローチャートの目的は人に理解してもらうこと
フローチャートを作成するとき、最も注意すべき事があります。
それはパッと見たときに、分かりやすいと思えるフローを作成することです。
なぜなら、フローチャートを作成する目的は人に仕事の流れを理解してもらうためだからです。
フローチャートを見たとき、「この仕事はシンプルで分かりやすそう!」と思ってもらうことで、相手が仕事を理解する気になるのです。
逆に、フローチャートを見たとき「この仕事はごちゃごちゃしている」と感じてしまうと、相手は仕事を理解する気がなくなってしまいます。
例えば、新入社員や異動者に仕事内容を説明するとします。
このとき、ごちゃごちゃしたフローチャートで説明をすると、話を聞いている側は理解が追いつきません。
それはごちゃごちゃしたフローチャートを理解するのに時間がかかってしまうからです。
ただ新入社員や異動者であれば、社内の人間なので、大きな問題にはなりません。
しかし、社外の説明資料でごちゃごちゃしたフローチャートを使うとまずいです。
フローチャートで仕事をどれだけ理解しているか分かってしまう
社外の人に仕事の流れを説明するとき、フローチャートを使って説明することは少なくありません。
当然ですが、社外の人はその仕事について全く知りません。
したがって、フローチャートや口頭説明をしながら、分かりやすく伝える必要があります。
このとき、以下のどちらが信頼をしてもらえるでしょうか。
B|ごちゃごちゃしたフローチャートで説明する人
明らかにAです。
実際、Bの「ごちゃごちゃしたフローチャート」で説明されると、安心して作業を進めることができません。
この人は本当に仕事を理解しているのだろうかとなるからです。
このように、フローチャートを作成する目的は仕事を見える化するためです。
したがって、フローチャート作成の注意点は、わかりやすいフローチャートを作成しないとそもそもの目的を達成できないことであると理解することなのです。
分かりやすいフローチャート(フロー図)を作るための5つのコツ
それでは、分かりやすいフローチャートを作成するためには何をすればいいのでしょうか。
それは、以下の5つのコツを押さえることです。
コツ2|記号を使い分ける
コツ3|左上を開始点とし、時系列にフロー並べる
コツ4|エクセルの場合はコネクタをつなげる
コツ5|分かりやすいテンプレートを使う
以下で詳しく説明していきます。
コツ1|誰が何をするのか分かる
分かりやすいフローチャートでは、誰が何をするかを明確にしておく必要があります。
なぜなら、フロー図を確認する人は何が知りたいかというと、「自分は何をする必要があるか?」だからです。
したがって、自分がどの役割で何をすればいいのかを一目みて分かるフロー図があると喜ばれます。
具体的には以下のような分けておくといいです。
●良い例
●悪い例
ポイントは、役割を線で区切っておくことです。そうすることで、「誰が」、「いつ」、「何を」するのかが分かりやすくなります。
コツ2|記号を使い分ける
自己流で記号を使用すると、分かりにくいフローチャートになってしまいます。
なぜなら、フローチャートでは使用する記号に型があるからです。
例えば、フローチャートに慣れている人は長方形とひし形を明確に使い分けます。
一般的に長方形はプロセスはタスクを示し、ひし形は判断を示します。
実際、私は何も考えずに記号を使ってフローを作成していたことがあります。全て長方形でフローを書いていたのです。
海外の大手企業とミーティングをしていたとき、「判断分岐のひし形を使わないのはなぜか?」と問われたことがあります。
当時の私は全く知識がなかったので、疑問を持たれるようなフローチャートを作成してしまっていたのです。
このように何も考えずに記号を使っていると、赤っ恥をかいてしまうことがあります。
そのためよく使われる記号は、その記号が一般的にどのような意味で使われるかを理解しておくのが大切です。
ただフローチャートの記号を調べてみると、20を超える数の記号が紹介されています。
しかし、覚えるのは4,5コの基本記号で十分です。具体的には以下です。
これだけを覚えればいいのには理由があります。それは、上記以外の記号を使うことはほとんどないからです。
また、使う記号の種類が増えるほど何を意味するか分かりづらくなります。
実際、何十もの記号を理解している人はほとんどいません。
そのため、覚えるのは上記の基本記号で十分です。
コツ3|左上を開始点とし、時系列にフロー並べる
フローチャートは時系列に並べるのがコツです。
なぜなら、人は左上から右下に向かって順番で並んでいるという前提で資料を読むからです。
例えば、多くの人はフローの左上を最初に見ます。
それは、始まりが左上にあると思い込んでいるからです。そのため、フローが右から始まっていると、それだけで混乱しています。
そのため、左上を開始点とし、時系列にフロー並べるのが重要です。
それにより直観的に分かりやすく頭に入ってきやすいフローにできます。
実際、以下のフロー図は上から下に時系列と共に流れ行くように書いています。その結果、非常に読みやすい作りになっています。
●良い事例
しかし、これが矢印が上に行ったり下にいったりしたらどうでしょうか。始まりと終わりがよく分かりづらくなってしまいます。
●悪い事例
このように直観的に分かりづらいフロー図は良いとは言えません。
そのため、フロー図は左上から時系列と共に流れ行くのがポイントです。
要は時系列を意識して、直観的に分かるようにするのがコツです。
コツ4|エクセルの場合はコネクタをつなげる
これはエクセルでフローチャートを作成する場合ですが、コネクタをつなげることをお勧めします。
なぜなら、コネクタでつなげると修正作業がしやすいからです。
コネクタとは、図形同士を連結させることです。
例えば、コネクタをつないでおくと以下のように図形を動かしたとき、矢印も自動で移動します。
逆に、コネクタでつないでおかないと以下のように図形を動かしても、矢印が自動で移動しません。
したがって、エクセルでフローチャートを作成する場合はコネクタをつなげることをお勧めします。
コネクタでつなぐには、矢印の始点/終点を移動し、以下の赤枠のように図形の4点のどこかに交差させます。
そうすると、連結点が緑色に変わる場所があるので、そうなればコネクタが連結されます。
逆に白色のままだと、連結されていないのでやり直しです。
コツ5|分かりやすいテンプレートを使う
分かりやすいフローチャートを作るのであれば、ある程度出来上がったテンプレートを使用するのが望ましいです。
なぜなら、フローチャートには型があるからです。
そして、出来上がったテンプレートを使用すれば、その型に則った(のっとった)ものをすぐに使えるからです。
例えば、仕事のコツとし5つ紹介していますが、テンプレートを使えば、ここで列挙したコツは始めから設定されています。
したがって、コツを考えなくても分かりやすいテンプレートが書けるのです。
テンプレートはウェブ上にたくさんありますが、お勧めは以下の2つのサイトです。
●Draw.io
Draw.ioは登録が必要ですが、無料でテンプレートを見ることができます。以下の手順です。
●Lucidchart
Lucidchartは本格的に使うには、月額500円~必要ですが、テンプレートの量が豊富です。
無料でもある程度使えるので、登録だけしてテンプレートを覚えて活用させていただくのが良いでしょう。
実は私はLucidchartの有料版を使っています。
それはテンプレートが豊富で、大手企業が使っているようなフローチャートをすぐに使えるからです。
このような便利な機能がたくさんあるので、ぜひ活用してみてください。
エクセルでフローチャートを書くなら、こちらの記事からダウンロードできます
もしフローチャートを実際に書きたいのであれば、以下の記事で解説しています。
エクセルでフローチャートを作成する方法から使い方まで詳しく紹介しています。
フローチャートを作るための正しい手順とポイント
もしフローチャートを作るための正しい手順とポイントを知りたいのであれば、以下の記事で解説しています。
仕事を自動化できればフローチャートは要らない
ここまで、フロー図の書き方のポイントについて記載してきました。
しかし、フロー図を作っても確実に仕事がやりやすくなるわけではありません。
なぜなら、フローチャートは人にわかりやすく説明するためのものに過ぎないからです。
説明が必要な仕事をしている限り、人為ミスはどうしても発生してしまいます。
たとえば、月末処理で何百、何千といったデータを処理する仕事があります。
このような仕事は、フローチャートで仕事の流れがあったとしても必ずミスが生じます。
このとき、ダブルチェックをしたり確認部署をフロー図に入れることで対策を講じる会社があります。
しかし、ダブルチェックや確認部署をフロー図で明確化したところで、ミスは減るでしょうか。おそらくなくならないでしょう。
フローは視覚的には分かりやすいですが、作業する人の負担を減らしてくれるわけではないのです。
そのため、フロー図があっても、人為的ミスがゼロになることはありません。
そこで、人為的なミスがなくならない場合はエクセルマクロのような自動化ツールを活用して、人の作業そのものを減らすことを検討することをお勧めします。
エクセルマクロについては、こちらの記事で解説していますので、あわせて読んでみてください。
●エクセルマクロで「できること」とは?
●エクセルマクロとは? メリットや利点を解説
●エクセルマクロのサンプルファイルを無料ダウンロード
フローチャートに加えて、業務手順書も作成してみよう
フローチャートは、仕事全体の概要を図にしたものです。
しかし、仕事全体で引き継ぐことを考えるなら、手順書や業務マニュアルを作成しておくことをお勧めします。
そうすれば、仕事の引き継ぎが簡単になります。以下の記事で説明していますので、合わせて読んでみてください。
●業務マニュアル・手順書の作成方法
●業務マニュアル作成の目的とは?
●読まれる手順書を作るコツ
●業務チェックリストの作成のポイント
仕事のスピードをあげたいなら、パソコンスキルを高める
フロー図の作成方法を紹介しましたが、フロー図を作成するときパソコンスキルが高いと作成速度を上げることができます。
そのため、パソコンスキルを高めておくと仕事をスムーズに進めることができるようになります。
もし、パソコンスキルについてコツやポイントを知りたいなら以下の記事もお勧めです。
●パソコン操作が早くなる20のコツ
●パソコンスキルを学ぶなら何か学ぶ? 習得方法や学習方法を解説
●求人欄のパソコンスキルはどのレベルか?
仕事を効率化したいなら、業務効率化のスキルを磨こう
業務のフロー図の作成方法を紹介しましたが、フロー図作成の目的は仕事を早く行うことにあります。
そのため、フロー図作成以外の仕事の効率化スキルを学んでおくと、さらに仕事をスムーズにこなせるようになります。
もし、仕事を早く行うためのコツやポイントを知りたいなら以下の記事もお勧めです。
●多くの企業で採用されている業務効率化の事例
●仕事のムダの見つけ方
●業務効率化のテクニックやアイデアの出し方
●単純作業やルーティン業務から抜け出したい人のための仕事の仕組み化の方法
●仕事の失敗を防ぐためのリスクマネジメントのポイント
●納期遅れをなくすための仕事の段取りテクニック
業務手順書を一緒にフローチャートを書こう
ここで紹介した3つのポイントを意識すれば、見やすいフロー図を作成できます。
しかし、これらのポイントを知っているだけでは分かりやすいフローチャートを書けるようにはなりません。
なぜなら、実際に周囲の人に使ってもらって初めて、分かりやすいものを作れているかどうか分かるからです。
例えば、野球の試合を見ただけでホームランを打てるようになることはありません。実際にバットを振って、三振を経験しながら少しずつホームランが打てるようになっていきます。
これはフローチャート作成も同じです。ここで紹介したポイントを意識して「どうすればもっと良くなるか」を考えて実践することが大切です。
ぜひ、この記事を読んだあなたがフローチャートを作成して、スムーズに仕事をこなせるようになってほしいと思います。